黒猫は不吉?迷信が猫の福祉に与える影響
黒猫は不吉、猫は悪いものを運ぶといった迷信は、ただの言い伝えではなく、譲渡不利や虐待、遺棄につながることがあります。猫の福祉の視点から、迷信の影響を整理します。

導入会話
マロン学長「黒猫が横切ると不吉、って話を聞いたことがあるよ。どうしてそんな話が生まれたんだろう?」
大福先代学長「猫は長い歴史の中で、神聖な存在にも、悪の象徴にもされてきたのです。その名残が、今の猫の扱われ方にまで届いている。今日はそこを見ていきましょう。」
この回でわかること
- 猫にまつわる迷信が今も残っている調査結果
- 迷信が譲渡や安全に影響しうる経路
- 迷信をほどくための、ふつうの見方
猫は昔から、よくも悪くも象徴にされてきた
猫は歴史の中で、神聖な存在として大切にされたこともあれば、不吉な存在として恐れられたこともあります。レビューは、古代エジプトで猫が守護的な存在として崇められた一方、中世ヨーロッパでは異教の神々との結びつきから悪魔や魔女の使いと見られ、迫害の対象になった経緯を紹介しています。黒猫への負のイメージは、この中世の文脈に起源があるかもしれない、と著者らは述べています。
こうした見方は、ただの昔話ではありません。ナイジェリア北東部の調査では、「魔女は夜に猫へ変身する」「黒猫は不運を招く」といった文に同意する回答者がいて、迷信は猫と暮らしていない人ほど多かったと報告されています。ブラジルの調査では、24.2%が「猫は幽霊が見える」に、37.8%が「猫は家の悪い気を吸い取って浄化する」に同意しました。
マロン学長「猫の毛色だけで怖がられるのは、かなしいね。」
大福先代学長「ええ。猫自身には何の責任もないのに、人間の解釈で扱いが変わってしまうのです。」
迷信は譲渡や安全に影響することがある
論文では、米国コロラド州の二つのシェルターで、黒猫が年齢や性別に関係なく他の毛色の猫よりシェルターに長く残る傾向を示した研究が紹介されています。また、ブラジルの二つの公立学校の児童を調べた研究では、93.1%の子どもが黒猫を怖いと答えていました。
もちろん、すべての地域や施設で同じとは限りません。ただ、迷信やイメージが譲渡のされやすさ、保護のされ方、人からの扱いに影響し得ることは、猫の福祉として無視できません。
「猫は家の悪い気を吸う」のような、一見よさそうな信念にも注意がいります。猫を役割で見る見方は、猫を一匹の動物として見ることから遠ざけます。レビューも、猫を独立的で丈夫な存在と見ることが、けがをしても放っておく、いなくなっても探さないといった態度につながりうる、と指摘しています。
とくにSNSやイベントで、黒猫を不気味な演出だけに使うと、そのイメージを強めることがあります。かわいい・かっこいい表現はよいとしても、不吉さだけで消費しない配慮が必要です。
迷信をほどくには、猫を普通の猫として見る
黒猫だから性格が悪い、黒猫だから不吉、黒猫だから特別に怖い。こうした見方に科学的な根拠はありません。毛色は毛色であり、その猫の性格や暮らし方は個体ごとに違います。
迷信をほどくには、強く否定するだけでなく、普通の猫として接することが大切です。食べる、眠る、遊ぶ、甘える、怖がる、隠れる。黒猫も、他の猫と同じように日々を生きています。
今日からできること
- 黒猫を不吉な存在として扱う表現を避ける
- 毛色ではなく、その猫の性格や行動を見る
- 迷信を見かけたら、猫の安全や譲渡に影響し得る視点を添える
まとめ会話
マロン学長「迷信って、笑って終わりにできないこともあるんだね。」
大福先代学長「そうなのです。猫の扱われ方に影響するなら、それは福祉の問題になるのですよ。」
マロン学長「黒猫だから、じゃなくて、その子を見る。シンプルだけど大事だね。」
大福先代学長「ええ。次回は、感染症の誤解を整理しましょう。」
次回予告
第4回は、トキソプラズマ症や感染症をめぐる誤解を扱います。