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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座212第2回 / 全5回

笑い・うなり・泣き声・叫び声をどう比べた?

20匹、自宅、左右2台のスピーカー、30秒観察という実験方法と、5領域の行動得点を読みます。

いち教授
いち教授
講座212

導入会話

マロン学長「笑い声と叫び声を聞かせるだけなら、簡単な実験に見えるけど、猫の反応はどう数えるの?」
いち教授「耳や尾だけで決めず、動き、姿勢、目まで五つに分けたんだ。声を聞かせる順番にも大事な注意があるよ。」

この回でわかること

  • 25匹から20匹になった理由
  • 4種類の音声を再生した環境と手順
  • 複合行動得点と頭向け反応の測り方

5匹は試験前に除外された

研究には家庭猫25匹が募集されました。しかし、見知らぬ女性実験者がいるだけで強いストレスを示した5匹は、試験前に除外されました。最終対象は20匹、雌7匹・雄13匹、1〜8歳で、全頭が不妊・去勢済みでした。

この除外は猫へ無理をさせないために必要です。一方、結果は見知らぬ人がいても試験を続けられた猫に偏る可能性があります。

自宅で左右から同じ音を流した

試験は各猫の自宅にある静かな部屋で行われました。猫が実験者と機材に慣れ、ストレス行動を示さなくなるまで待ち、最長20分で試験へ進みました。

2台のスピーカーは猫の頭から左右等距離、平均約2mに置きました。猫の位置で平均69dBになるよう音量をそろえ、両側から同時に音を流しました。飼い主と実験者は動かず、猫へ話しかけず、直接目を合わせませんでした。

各猫は笑い、うなり、すすり泣き、叫びを1回ずつ聞き、刺激後30秒間を記録されました。同じ音を繰り返すと猫がすぐ慣れたため、反復再生はしていません。

各刺激は1回だけなので、同じ猫で反応が何度も再現するかまでは確かめていません。

飼い主と実験者は動かず、試験中は猫に働きかけず、床の一点を見て猫と視線を合わせないよう指示されました。予備の観察で黒いサングラスが複数の猫に恐れの反応を起こしたため、サングラスは使っていません。行動は2台の4Kビデオカメラで記録され、訓練を受けた2人がコマ単位で分析しました。行動の出現と分類についての観察者間の一致率は95%を超えています。研究は大学の倫理委員会の承認を受け、飼い主と音声の提供者から書面の同意を得ています。

五つの領域から3カテゴリーを作った

研究者は、動き、姿勢、耳、目、尾の五つを観察しました。それぞれをリラックス、中程度のストレス、強いストレスへ分類し、各カテゴリーの行動が見られた時間の割合を計算しました。最後に五領域を平均して0〜1の得点にしました。

たとえば耳なら、中立はリラックス、横向きや後方は中程度、後ろへ回転した耳は強いストレスに分類されました。尾なら、尾先のぴくつきは中程度、緊張して下げる・大きく振るは強いストレスです。

この分類は診断ではありません。実験中に見られた行動状態を比較するためのものです。

6秒以内の頭向けも測った

猫が音開始から6秒以内に左を向けば1、右を向けば−1、向かなければ0としました。左右どちらを向くかは、反対側の大脳半球の関与を間接的に見る方法です。頭を向けるまでの時間と、スピーカーを見た総時間も測りました。

動画は2人がフレーム単位で評価し、個別行動の出現と分類の一致率は95%を超えました。

📄 論文を深く読む

この回では、対象の選び方、複合行動得点、6秒以内の頭向け課題を説明しました。行動一覧と統計方法まで追いたい方は論文要約ページをご覧ください。

今日からできること

  • 猫の反応を一つの耳や尾だけで決めず、姿勢・目・移動も合わせて見る
  • 大きな声の後は30秒ほど追わず、猫がどこへ動くかを見る

まとめ会話

マロン学長「五つの領域を合わせたから、耳だけで『怖い』と決めたわけではないんだね。」
いち教授「その通り。ただし1回ずつの小さな実験だよ。次は、どのカテゴリーが高く、何に差が出なかったのかを読もう。」

次回予告

4感情の違いではなく、中程度の警戒・覚醒が目立った結果を整理します。

参考文献

d’Ingeo S, et al. (2026). Applied Animal Behaviour Science, 304, 107107. https://doi.org/10.1016/j.applanim.2026.107107

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