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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座231第1回 / 全5回

その「ニャー」、声だけで何の場面かわかる?

225人が未知の猫の6音声を3択で分類した研究条件を知ります。

いち教授
いち教授
講座231

導入会話

マロン学長「猫がニャーと鳴くと、『ごはんかな?』ってすぐ思うことがあるよ。」
いち教授「それは声を聞いただけ? 食事の時間や猫の動きも見ているかもしれないね。今回は音だけを頼りにした研究だよ。」

この回でわかること

  • 225人が未知の猫の6音声を3択で分類した
  • 3場面の音はメインクーン10匹から選ばれた
  • 家庭で普段使う手がかりは実験では取り除かれた

目を閉じて、音だけを聞く

Prato-Prevideら(2020)の研究では、成人225人がオンラインで猫の「ニャー」を聞きました。選択肢は「ごはん待ち」「隔離」「ブラッシング」の3つ。参加者は音声を聞き直すこともできましたが、鳴いている猫の姿や、音が出た直前の様子は見られません。

問われたのは猫の気持ちそのものではなく、録音された場面を当てられるかです。家庭で「そろそろ夕食」「ブラシを持っている」と気づくのとは、条件が違います。

マロン学長「いつもの食事の時間だと分かるのも、声以外のヒントなんだね。」

猫10匹から選んだ6つの音

録音したのは、同じ飼い主と暮らすメインクーン10匹。研究者は3場面で声を集め、各場面から「音の特徴が代表的な声」と「代表から離れた声」を1つずつ選びました。参加者が聞いたのは、全部で6音声です。10匹それぞれの声を3場面すべて聞いたわけではありません。

ごはん待ちはいつもの給餌準備から5分待つ条件、隔離は慣れない部屋で飼い主と過ごした後に一時的に離れる条件、ブラッシングは飼い主が行う条件でした。隔離は研究上の録音条件です。猫の声を試すために家でまねするものではありません。

参加者は2018〜2019年に、研究者の知人や口コミ、研究者のSNSでの呼びかけを通じて集まったボランティアです。年齢は18〜70歳、平均40.47±15.50歳でした。研究の目的は「人と動物の関係について知ること」とだけ伝えられ、詳しい仮説や正解は知らされていません。

代表音は、研究者が音響特徴から選んだ

各場面の代表音と非典型音は、「人が聞いてそれらしく感じたか」で選んだのではありません。基本周波数、音の粗さ、倍音の構成に関する特徴を数値化し、場面ごとの中心に近い音を代表音、遠い音を非典型音としました。選定に使った特徴が場面の情報を捉えているなら、代表音の方が人にも当てられやすいと予想したのです。

この設計は音声の違いを比べやすくしますが、提示された6音が猫の鳴き声全体を代表するわけではありません。品種も同じ飼い主のメインクーンに限られます。次回の正答率は、この選定済み6音に対する225人の結果として読みます。

「何を測ったか」を忘れない

参加者は場面に加え、猫の声がどんな感情に聞こえるかも答えました。ただし、人がそう感じたことと、猫が実際にその感情だったことは別です。また、知らない猫の声を聞いた研究で、自分の猫の声の聞き分け能力を測ってはいません。

この線を引いてから数字を見ると、研究の面白さがはっきりします。次回は、代表的な音でも何人が当てられたかを見ます。

今日からできること

  • 猫が鳴いたら、声に加えて時間・直前の出来事・猫の動きを一緒に見る。
  • 意味を一つに決める前に、ほかの手がかりがないか確かめる。

まとめ会話

マロン学長「声だけの3択って、ふだん猫と向き合う時より難しそうだね。」
いち教授「その通り。次は代表的な声とそうでない声で、正答率がどう変わったかを見よう。」

次回予告

3択なら偶然でも約3回に1回は当たります。実際の正答率は?

参考文献

Prato-Previde E, et al. (2020). Animals 10(12):2390. https://doi.org/10.3390/ani10122390(CC BY 4.0の原著を日本語で解説)

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