毎日20:00更新
ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座181第1回 / 全5回

飼い主がいないと猫はよく鳴いた?

猫33組の模擬診察で、不在時に高かった発声率を、鳴いた猫の割合やストレスの強さと混同せず読みます。

いち教授
いち教授
講座181

導入会話

マロン学長「病院でぼくが鳴いたら、そばにいてほしいって意味なのかな?」
いち教授「そうかもしれないけれど、声だけで気持ちは決められないよ。研究が比べた数字から見よう。」

この回でわかること

  • 同席と不在で変わった発声率
  • 3.23倍・3.18倍が表すもの
  • 鳴き声だけでストレスを決めない理由

なぜ「同席」を調べたのか

論文の導入部には、多くの猫の飼い主が猫を毎年は動物病院へ連れて行っていない、という調査が引かれています。予防や病気の早期発見のためには定期的な受診が必要ですが、受診の壁の一つが、病院で猫が見せる恐怖や攻撃のサインです。飼い主にとっても、猫が怖がる姿を見ることはストレスになります。

先行研究では、飼い主と一緒に診察室にいる時の方が、飼い主なしで処置エリアにいる時より猫のストレス得点や心拍が低かったという報告がありました。ただしその研究では「飼い主がいない」ことと「処置エリアにいる」ことが同時に起きていたため、どちらが猫に影響したのか分けられませんでした。犬では、飼い主の同席が恐怖の反応を減らすと示唆する研究があります。この研究は、猫で「飼い主の有無」だけを取り出して比べようとしたものです。

不在時に発声率が高かった

Hareら(2025)は、33組の猫と飼い主に、飼い主が診察室にいる回と、待合室で待つ回の両方へ参加してもらいました。実際の病気を診る受診ではなく、同じ診察室で行う模擬診察です。

猫が部屋とキャリーに慣れる2分間の馴化期では、不在時の発声率が同席時の3.23倍でした。身体診察期でも、不在時は3.18倍でした。

この研究で飼い主の有無による差を検出した猫側の指標は、ニャーという発声率でした。

馴化期は、猫がキャリーの中や診察室で環境に慣れるための2分間です。この段階ではまだ誰も猫に触れていません。飼い主がいるかいないかだけで、猫の声の出方が違っていたことになります。

「3倍の猫が鳴いた」ではない

この数字はIRR(発生率比)と呼ばれ、1分あたりの発声回数の率を比べたものです。3.23倍多くの猫が鳴いた、1匹のストレスが3.23倍強かった、という意味ではありません。

馴化期の95%信頼区間は1.47〜7.10、診察期は1.31〜7.70でした。推定には幅があります。33組の結果を、すべての猫の正確な倍率として使うことはできません。

鳴き声は観察の入口

著者らは、不在時の発声増加が軽い急性ストレス反応を示す可能性を論じています。一方で、猫の発声には大きな個体差があり、声の役割は場面で変わるとも書いています。

普段からよく鳴く猫もいれば、緊張しても声を出さない猫もいます。声が出たら、体を低くしたか、逃げようとしたか、飼い主が戻った後に変わったかを合わせて見ます。

マロン学長「鳴かない猫は、怖くないってことでもないんだね。」

いち教授「そうだよ。声が出ない猫ほど、体の動きや姿勢で見る必要があるんだ。」

今日からできること

  • 前回の受診で鳴いた場面を「移動中・待合・診察室」に分けて一行で書く
  • 声と一緒に見えた姿勢、移動、逃げようとする動きを記録する
  • 次回の予約時に、離れた場面で変化したかを病院へ伝える

まとめ会話

マロン学長「3.23倍は、ぼくの怖さが3.23倍って数字じゃないんだね。」
いち教授「うん。声は大切な手がかりだけど、ほかの反応と一緒に読む数字だよ。」

次回予告

33組をどのように同席・不在で比べ、何を測ったのかを確認します。

参考文献

Hare LV, et al. (2025). Applied Animal Behaviour Science, 292, 106792. https://doi.org/10.1016/j.applanim.2025.106792

講座トップ第2回 →
医療情報の取り扱い

本サイトの記事は、学術論文をAI技術を用いて要約・翻訳したものであり、獣医師による診断・治療に代わるものではありません。愛猫の健康状態に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。