乾燥葉の方が長く反応したのはなぜ?
マタタビの植物部位・季節・乾燥によるイリドイド量と組成の違い、8匹の新鮮葉・乾燥葉比較を読みます。

導入会話
マロン学長「乾燥すると香りの成分は濃くなるの?」
はち助教授「この研究では、総量はむしろ減ったの。でも成分の組み合わせが変わったのよ。」
この回でわかること
- 植物部位と季節による違い
- 7日乾燥で総量と組成がどう変わったか
- 8匹の二者選択から言えないこと
部位ごとに含まれる量が違った
8月採取の植物を比べると、正常果実の総イリドイド量は虫こぶ果実の約6倍、緑葉の約11倍でした。緑葉は白葉のおよそ3倍で、枝は最も少ない結果でした。
成分の内訳も部位で違いました。緑葉、白葉、正常果実ではネペタラクトールが総イリドイドの85%以上を占めます。一方、小さなハエの寄生でできる虫こぶ果実と枝では、ネペタラクトール以外のイリドイドが3割ほどを占めていました。
ただし、限られた地域と標本の化学分析です。産地、年、栽培条件、市販品でも同じ比率になるとは限りません。
季節でも変わった
同じ緑葉でも、3月から10月まで8回に分けて採ると、5月から8月の葉の総イリドイド量が多く、早春と秋は少なくなりました。果実は7〜8月しか採れませんが、緑葉は3月から10月まで長く得られます。著者らが乾燥葉に注目したのは、この採りやすさも理由の一つです。
乾燥で総量は減り、比率は変わった
8月採取の緑葉を24±2℃、相対湿度40±3%で乾燥しました。1日後に重量は新鮮時のおよそ4分の1へ減りました。7日後の総イリドイド濃度は新鮮葉のおよそ半分でした。
一方、ネペタラクトール以外のイリドイドが占める割合は、新鮮葉の3.9±0.8%から、7日乾燥で49.3±0.6%へ増えました。この変化は、葉を手でもんだり裂いたりした時に起こる変化と似ていると著者らは述べています。
著者らの以前の研究では、猫はネペタラクトールとほかのイリドイドがおよそ1対1で混ざった組成を、新鮮な葉の9対1の組成より好む結果が出ていました。7日乾燥した葉は、ちょうどこの1対1に近づいていたことになります。
「成分が多いほど反応が長い」だけではなく、複数成分の組み合わせが関わる可能性があります。
8匹は乾燥葉抽出物へ長く反応した
8匹へ、新鮮葉と7日乾燥葉の抽出物を同時に提示しました。二つの皿は30cm離して床に固定し、左右の位置はランダムに入れ替えています。乾燥葉への反応時間が長くなりました(正確確率p=0.008)。
この比較では抽出物の条件を研究用にそろえています。家庭で葉を7日干せば同じ組成になる、市販の乾燥葉なら必ず反応する、反応が長いほど安全で幸福、といった結論にはなりません。
マロン学長「『7日』だけをレシピみたいに使っちゃいけないんだね。」
はち助教授「温度、湿度、葉、抽出方法まで研究条件の一部。数字だけ切り出しちゃだめよ。」
キウイの仲間はどうだった?
マタタビと同じ属の植物として、キウイフルーツ、サルナシ、ミヤママタタビの葉も調べました。葉のイリドイドは少なく、6匹の猫は、これらの葉や葉の抽出物にほとんど反応しませんでした。イリドイドは葉ではなく根に多く、キウイフルーツの根の抽出物には6匹が反応しました。
著者らはこの結果から、根を掘り起こす手間を考えると、製品の原料としてはマタタビの緑葉と果実が向くと述べています。これは原料を作る側へ向けた提案で、家庭で何を使うべきかを決めた結果ではありません。
反応の長さは何を示す?
研究で数えたのは、なめる、かむ、こする、転がる行動の時間です。猫が喜んだ量、安全性、ストレス軽減、遊び不足の解消を直接測ったものではありません。
今日からできること
- 「天然」「乾燥」という言葉だけで安全性や品質を決めない
- 市販品は原材料と使用表示を確認する
- 反応しない猫へ繰り返し近づけない
まとめ会話
マロン学長「乾燥で総量は減っても、組成が変わって反応が長くなったんだ。」
はち助教授「次はこの研究を家庭へ持ち帰る時の線引きをまとめるわよ。」
次回予告
使う前、反応中、反応後に何を観察し、どこからは論文で判断しないかを整理します。