論文要約:猫を「家族」と見る気持ちと関わり方——猫195人を含む質問票研究
Bouma et al. (2023). Animals, 13(23), 3644 (2023)

論文の概要
猫を家族や友人のように感じることと、話しかける、触れる、留守の後に埋め合わせようとする行動には、どのような関連があるのでしょうか。
Boumaらは、オランダの猫飼い195人を含む527人へオンライン質問票を行いました。自分の動物の能力を人間に似ていると見る程度、子ども・家族・友人などの社会的役割、飼い主が報告した関係行動を別々に測り、重回帰と媒介分析で関連を調べました。
研究デザイン
- 2020年にオランダで行った横断オンライン質問票
- 質問票へ入った702人、主要6変数が完全な640人、最終解析527人
- 最終解析は猫飼い195人、犬飼い332人
- 平均年齢47歳、女性88%、高教育57%
- 年齢と教育を共変量にした重回帰・媒介・調整付き媒介
- 5,000回のブートストラップ
測った三つの認識
一般的擬人化IDAQは、昆虫、魚、爬虫類、牛、チーターに心的能力がある程度を尋ねます。比較的擬人化COANTは、自分の猫や犬の推論、言語理解、感情などが人間にどの程度似るかを尋ねる新尺度です。
社会的役割PRPは、動物を子どものよう、本当の愛の対象、家族の正式な一員、本当の友人と見る程度を測ります。
結果側には、食べ物、トリーツ、おもちゃ、注目、抱擁、謝罪による埋め合わせ、社会的支援の経験、撫でる、抱く、キスする、話すコミュニケーションを置きました。
主な発見
自分の動物を尋ねる尺度の方が関連した
COANTは三つの結果と.25〜.38の相関がありました。一般の動物を尋ねるIDAQは、一つの結果と.13の弱い相関があっただけでした。二つの尺度の相関は.27で、同じ擬人化でも異なる側面を測る可能性があります。
社会的役割は三つの結果すべてに関連した
重回帰では、COANTとPRPが埋め合わせ行動と社会的支援に関連しました。コミュニケーション行動に直接関連したのはPRPだけでした。説明率は埋め合わせ22.4%、社会的支援43.9%、コミュニケーション43.9%でした。
PRPを介する統計的な間接関連があった
COANTと三つの結果の関連には、PRPを介した有意な間接関連がありました。猫飼いでは、間接係数が埋め合わせ.21、社会的支援.34、コミュニケーション.32で、犬飼いの.11、.17、.16より強く出ました。
これは変数間の統計パターンです。能力を人に似ていると見たことが社会的役割を生み、行動を変えたという時間順序は観察していません。
原著を読む時の注意
- 一時点の横断質問票で、媒介分析も因果を示さない。
- オランダの自発的標本で、女性、高教育、関心の高い飼い主が多い。
- 猫飼いと犬飼いは性別、教育、動物の年齢なども異なる。
- COANTを含む多くの尺度は本研究のために構成された。
- 行動と社会的支援は飼い主の自己報告で、猫を直接観察していない。
- 社会的支援は人の健康改善を測る臨床研究ではない。
- コミュニケーション尺度は「5項目」と書かれるが、本文で列挙されるのは4行動だけ。
- 接触頻度から、猫が好んだ、福祉が高い、関係が良いとは判断できない。
この研究で断定できないこと
- 猫を家族と思えば関係が良くなること
- 擬人化が行動を増やすこと
- 猫が人間と同じ意図や複雑な感情を持つこと
- 抱く、キスする、話すことを猫が好むこと
- 猫との暮らしが人の心身を改善すること
- 猫飼いと犬飼いの差が種だけで生じたこと
暮らしへのヒント
「家族だから寂しかった」「悪いと分かって仕返しした」と、人の関係の言葉を猫の意図へそのまま移さないようにします。人側の意味づけと、猫が実際に示した距離、姿勢、耳、尾、近づく・離れる選択を分けて記録します。
親しさは否定せず、接触の頻度を愛情の点数にもしません。触れる前と途中で猫の反応を見て、離れた時は追わない。猫を大切な家族と感じることと、猫を猫として観察することは両立できます。
よくある質問
猫飼い195人だけを調べた研究ですか?
いいえ。最終解析527人のうち猫飼い195人、犬飼い332人です。猫飼い内の係数も示されましたが、研究全体は犬猫混合です。
媒介分析で原因が分かりますか?
分かりません。この研究は一時点なので、矢印は理論モデルです。別の順序や共通要因もあり得ます。
猫に話しかけるのはよくないですか?
この研究は良し悪しを判定していません。話しかけることと、猫の意図を人間と同じだと決めつけることは別です。
猫との関係認識の研究と同じテーマですか?
猫との関係認識研究——家族・友人・子ども・ペットで暮らしは変わる?は猫飼い約1,800人で関係の呼び方と生活環境を調べます。この研究は猫195人を含む527人で、能力評価、社会的役割、関係行動の統計的関連を扱います。
猫を家族のように見る気持ちは、関わり方とどうつながる?
オランダの猫飼い195人を含む527人へ、自分の動物の能力を人間に似ていると見る程度、家族・友人などの社会的役割、撫でる・話す・埋め合わせる行動を尋ねた研究です。関連と因果を分け、親しさを猫の気持ちの決めつけへ変えない方法を全5回で学びます。