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ネコフリークス大学Neko Freaks University
行動・気持ち掲載 2026.10.03

論文要約:猫は自分の名前を聞き分ける?——4つの音声実験

Saito et al. (2019). Scientific Reports

読了 約6分中級2019年発表原文 DOI →

論文の概要

Saitoらの2019年の研究は、四つの一般名詞または同居猫の名前へ反応が弱くなった猫に、5番目として自分の名前を聞かせ、耳や頭などの反応が戻るかを調べました。

一部の猫は自分の名前の音列を区別しましたが、その意味を人と同じように理解したことまでは示していません。

研究デザイン

猫には、四つの語を15秒間隔で一度ずつ聞かせ、その後に自分の名前を聞かせました。一般名詞は名前とモーラ数とアクセント型を合わせています。実験2だけは、一般名詞の代わりに四つの同居猫名を使いました。

最初の三つの語への平均反応より4番目への反応が小さくなった猫を「馴化した」と判定します。その猫が5番目の自分の名前で反応を強めれば、先の語列とは区別したと考えます。実験1〜3は飼い主などの声、実験4は知らない女性の声です。約3m先の隠れたスピーカーから約65dBで再生しました。

研究者は、耳、頭、発声、しっぽ、場所の移動を動画から記録し、刺激を知らない評価者が反応の大きさを0〜3で判定しました。2019年9月にAuthor Correctionが公開されており、本要約は訂正文を正として扱います。

主な発見

1. 4実験それぞれで一部の猫が名前で反応を回復した

実験1は一般家庭の猫16匹で、11匹が馴化し、9匹が自分の名前で反応を回復しました。

実験2は少なくとも5匹で暮らす猫34匹です。家庭猫24匹のうち馴化したのは6匹で、6匹全てが同居猫名の後の自分の名前へ反応を回復しました。猫カフェ猫は10匹中9匹が馴化し、反応回復は3匹でした。

実験3は家庭猫20匹、猫カフェ猫9匹で、21匹が一般名詞へ馴化し、13匹が自分の名前で反応を回復しました。生活環境による明確な差はありませんでした。26匹は実験2にも参加しています。

実験4は家庭猫30匹と研究室猫3匹です。知らない女性の声でも20匹が馴化し、13匹が名前で反応を回復しました。4実験の参加枠は計112ですが、再参加があるため112匹の独立した猫を調べた研究ではありません。

2. 反応は耳や頭の動きが中心だった

半数を超える猫に耳か頭の動きがあり、発声、しっぽ、移動はそれぞれ10%未満でした。行動の有無とは別に評価された反応の大きさでは、評価者間一致がKendallのWで0.73、0.73、0.65、0.55(実験1〜4)でした。単純な総行動得点が4番目から名前で増えたのは実験2だけで、実験1・3・4の主要な結論は盲検評価者による反応の大きさの違いに支えられています。

3. 知らない人の声でも反応が戻った

実験4で反応が戻ったことは、飼い主特有の声質だけでなく、名前の音声パターンを手がかりにした可能性を支えます。ただし話者は知らない女性2人だけで、性別、声質、話し方が大きく異なる人でも同じかは、この実験から決まりません。

4. 猫カフェとの差は環境の因果と断定できない

同居猫名を使った実験2では、家庭猫と猫カフェ猫で結果が異なりました。猫カフェでは一つの名前が呼ばれた時に複数の猫が食事や注目を得るなど、名前と個体の対応が曖昧になる可能性がありますが、対象は1施設だけです。結果の差は観察されても、猫カフェという環境が識別を弱めたとは断定できません。

5. Author Correctionの内容

2019年9月の訂正文は、実験3の年齢範囲を1〜12歳へ、実験4を一般家庭19世帯30匹と研究室猫3匹へ、実験1への過去参加を4匹へ修正しました。補足表S5のNgboiとNnnの年齢も、それぞれ2歳・7歳へ訂正されました。現在の本論文PDFは冒頭に訂正表示がありますが、本文の一部に旧数値が残ります。主要な統計結果や結論の修正はありません。

この研究で断定できないこと

  • 猫が名前を「自分」を表す語として理解したこと
  • 名前の意味を人の言葉と同じように理解したこと
  • 呼ばれたら近づく、指示へ従う能力
  • 名前への反応の強さと知能や愛情の関係
  • 全参加猫が自分の名前を区別できること
  • あらゆる人の声でも同じように区別すること
  • 猫カフェと家庭の差を生んだ原因
  • 4番目から5番目への回復に順序効果がどこまで関わるか

なお、研究は東京大学の動物実験委員会の承認を受け、飼い主の同意を得ました。日本学術振興会科研費25118003と上智大学の研究成果発信支援を受けています。著者らは競合する利益なしと申告しました。

数字で見るポイント

  • 16/34/29/33匹: 実験1〜4の参加枠(計112だが再参加ありのため独立112匹ではない)
  • 11/16・15/34・21/29・20/33: 実験1〜4で馴化と判定された猫の数
  • 9/11・6/6(家庭)+3/9(カフェ)・13/21・13/20: 馴化した猫のうち自分の名前で反応を回復した数
  • 0.73/0.73/0.65/0.55: 評価者間一致(Kendallの一致係数W、実験1〜4)
  • 10%未満: 発声・しっぽ・移動の反応が見られた割合(耳・頭の動きは半数超)
  • 1〜12歳/19世帯30匹+研究室3匹/4匹: Author Correctionによる実験3年齢範囲・実験4対象・実験1過去参加数の修正値

暮らしへのヒント

名前を呼んだ時、近づくかどうかだけでなく、耳が向く、頭が少し動く、いったん動きを止めるといった反応も見ます。小さな反応の後に来ないことは、聞こえていない証拠ではありません。

名前を聞き分けることと、その後に何をするかは別です。反応を試すために連呼せず、呼んだ後は猫が距離や行動を選べる余白を残します。

よくある質問

Q. 猫は自分の名前の意味を理解したのですか?

支持されたのは、馴化した一部の猫が名前の音列をほかの語から区別したことです。自己概念や人と同じ意味理解は調べていません。

Q. 呼んでも来ないのは名前がわからないからですか?

聞き分けることと近づくことは別です。耳や頭の小さな反応は猫は自分の名前をわかってる?呼んでも無視する理由でも紹介しています。

Q. 全ての猫が名前へ反応しましたか?

いいえ。主要分析は先の語へ馴化した猫に限られ、その中でも全個体が反応を回復したわけではありません。

Q. 同居猫の名前と顔の研究と同じですか?

別の問いです。猫は同居猫の名前と顔を結びつける?——2つの音声・写真実験は他個体の名前音声と顔写真の対応を扱います。

原著・訂正

この論文のテーマを深く学ぶ

猫は自分の名前を聞き分ける?——4つの音声実験

一般名詞や同居猫名の後に自分の名前を聞かせた4実験から、音列の識別、耳や頭の小さな反応、意味理解との違いを全5回で読みます。

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本サイトの記事は、学術論文をAI技術を用いて要約・翻訳したものであり、獣医師による診断・治療に代わるものではありません。愛猫の健康状態に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。