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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座070第1回 / 全5回

猫の動きはセンサーで見分けられる?

家庭猫10匹の胸側へ加速度計を付け、動画で確認した12行動と波形を結びつけた研究を紹介します。機械学習が行動名を分類する仕組みと、センサーだけでは決められない範囲を整理します。

いち教授
いち教授
講座070

導入会話

マロン学長「ぼくが歩いたり寝転んだりしたら、小さなセンサーだけで見分けられるの?」

いち教授「動きの波形には違いが出るよ。ただ、最初から行動名を知っているわけではないんだ。」

マロン学長「じゃあ、誰が『これは歩く』と教えるの?」

いち教授「動画を見た人が正解を付け、その例から機械がパターンを学ぶんだよ。」

この回でわかること

  • 三軸加速度計が記録するもの
  • 動画ラベルと機械学習の関係
  • 12行動へ分類した研究の範囲

胸元の小さな装置で動きを記録

2021年にScientific Reportsで発表された研究には、オーストラリアの家庭猫10匹が参加しました。猫は市販ハーネスを着け、胸骨に近い位置へ11gの三軸加速度計を装着しました。

三軸とは、前後、左右、上下の三方向です。装置は1秒間に50回、各方向の加速度を記録しました。横になって静止する時、歩く時、跳ぶ時では、身体の向きや揺れ方が違います。その差が波形として残ります。

猫は実験室の通路ではなく、普段の屋外環境を自由に動きました。多様な動きを記録できる反面、映像で確認しにくい場面もあります。

センサーが直接記録したのは行動名ではなく、胸元に伝わった三方向の動きです。

動画が「正解」を教えた

波形の山や谷だけから、どれが毛づくろいかを自動で決めることはできません。研究者は猫の行動を動画でも撮り、時刻を加速度データと合わせました。そして、映像で確認できる区間へ行動名を手作業で付けました。

分類したのは、横になる、座る、毛づくろい、見張る、食べる/飲む、歩く、速歩する、疾走する、跳ぶ、飛びかかる、前足でたたく、噛む/保持する、の12種類です。

50回/秒の記録は1秒ずつにまとめられ、平均、ばらつき、範囲、三軸どうしの関係など26の特徴へ変換されました。似た特徴を近くへ並べる自己組織化マップに学習させ、人がマップ上のまとまりへ行動名を対応させます。

機械学習の答えを作る前に、人が動画を見て作った正解ラベルが必要でした。

マロン学長「動画なしで、センサーが勝手に行動の意味を発見したわけじゃないんだね。」

分類できることと理解すること

モデルは、新しい1秒区間がどのまとまりに近いかを調べ、行動ラベルを返します。長い映像を全て見ずに、行動時間を集計できる可能性があります。

ただし、モデルが「飛びかかる楽しさ」や「食べたい気持ち」を理解したわけではありません。同じ胸の揺れ方へ同じラベルを割り当てています。似た動きが別の状況で起きれば、波形だけでは意味を区別できないこともあります。

また、この研究で使ったのは研究用の装置と解析手順です。家庭用活動量計やスマート首輪が同じ12行動を同じ精度で分類できるとは限りません。装着位置、記録頻度、学習データが違えば性能も変わります。

行動の分類は動きのパターン分けであり、猫の感情や健康状態を読むこととは別の課題です。

家庭でも表示名を猫の内面そのものと受け取らず、何をどこで測る機器かを確かめます。

今日からできること

  • センサーの表示名と、装置が実際に測る動きを分けて考える
  • 数値だけでなく装着位置やずれも確認する

まとめ会話

マロン学長「センサーは胸元の動きを記録し、動画で付けた正解から12行動を学んだんだね。」

いち教授「そうだよ。行動名は波形の中に書かれているわけではないんだ。」

マロン学長「分類できても、ぼくの気持ちや体調まで読めるとは限らない。」

いち教授「その境界を保とう。次は10匹の記録と学習手順を詳しく見るよ。」

次回予告

第2回は、対象、装着条件、1秒区間、26特徴量、学習データ量と原著内の時間不一致まで照合します。

参考文献

  • Galea N, et al. Quantifying finer-scale behaviours using self-organising maps (SOMs) to link accelerometery signatures with behavioural patterns in free-roaming terrestrial animals. Scientific Reports. 2021;11:13566. https://doi.org/10.1038/s41598-021-92896-4

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