猫飼いで強かった「間接関連」——媒介係数を読む
自分の猫の能力を人に似ていると見るCOANTと、埋め合わせ・社会的支援・コミュニケーションの関連には、家族や友人と見るPRPを介した間接関連がありました。猫飼いで強かった係数を因果にせず読み解きます。

導入会話
マロン学長「猫を人に似た存在と見るほど、家族や友人だと感じ、その結果、関わりが増える。研究はその順番を示したの?」
いち教授「計算したモデルはその順番。でも測定は一度だけだから、『その結果』とはまだ言えないよ。」
マロン学長「では、媒介したという結果をどう読めばいい?」
この回でわかること
- PRPが測った四つの社会的役割
- 直接関連と間接関連の違い
- 猫飼いで強かった係数を因果にしない読み方
社会的役割PRPは四項目
PRPは、自分の動物が子どものよう、動物への愛も本当の愛、家族の正式な一員、本当の友人、という四項目への同意を7段階で測りました。猫飼いの平均は5.27、犬飼いは5.74でした。
PRPと埋め合わせ、社会的支援、コミュニケーションの単純相関は.43〜.65でした。三つの結果を重回帰で調べても、PRPはすべてに関連しました。COANTは埋め合わせと社会的支援には関連しましたが、コミュニケーションへの直接関連は残りませんでした。
直接と間接を分ける
COANTと結果の関連を、PRPを通る部分と、通らない直接部分へ分けました。全体では、PRPを介する間接係数が埋め合わせ.13、社会的支援.22、コミュニケーション.21でした。コミュニケーションは直接関連が残らず、モデル上はPRPを介する関連として表れました。
これは、「人に似た能力を認めなければ猫へ話しかけない」という意味ではありません。原著も、コミュニケーションを行うのに人間と同じ能力を帰属させる必要はないと解釈しています。
マロン学長「話しかける頻度は、能力評価より『自分にとってどんな存在か』と結びついていたんだ。」
いち教授「この標本の変数間では、そういう関連が見えたと言えるね。」
猫飼いで間接関連が強かった
COANTからPRPを介する間接係数は、猫飼いで埋め合わせ.21、社会的支援.34、コミュニケーション.32。犬飼いでは.11、.17、.16でした。三つとも猫飼いの方が強く、群間差のブートストラップ区間も0をまたぎませんでした。
ただし「猫は擬人化されにくいから、家族と思わせれば行動が増える」という介入結果ではありません。猫飼い195人の中で、COANT、PRP、自己報告行動の結びつきが強かったということです。猫飼いと犬飼いは募集時期・経路も違い、背景属性にも差があります。
社会的支援を健康効果にしない
社会的支援尺度は、「困った時に頼れる」「必要な情緒的支援を与えてくれる」などへの飼い主の同意を測りました。猫が人のストレス、孤独、うつ、不安を改善したかを、診断尺度や前後比較で調べたものではありません。
そのため、「猫を家族と思えば心が健康になる」「猫が治療になる」とは書けません。猫へ人を支える役割を義務づけることも避けます。近くに来ない日、触れられたくない日があっても、猫側の失敗ではありません。
今日からできること
- 「家族なら応えてくれるはず」という期待がないか一度確認する
- 猫が近づかない時も、追わずに選択を残す
まとめ会話
マロン学長「猫飼いで係数が強くても、家族と思わせる介入の効果を示したわけではないんだね。」
いち教授「そう。人側の認識と報告の結びつきだよ。猫へ家族の役割を演じさせないことも大切だね。」
マロン学長「最後は、親しさと猫らしさを暮らしで両立しよう。」
次回予告
人側の物語を否定せず、猫の距離、接触、資源、選択を観察する二列メモを家庭で作ります。