長く撫でたら仲良し?接触時間の落とし穴
CAT指針研究では、身体接触の総時間は訓練前の方が長い一方、訓練後に親和行動が増え、対立・葛藤関連行動が減りました。長さではなく、誰が始め、止めた後に猫が何を選ぶかを見る方法をまとめます。

導入会話
マロン学長「たくさん撫でさせてくれた日は、猫も満足していたと思っていい?」
いち教授「接触時間だけでは決められないよ。この研究では、訓練前の方が長く触れていたんだ。」
マロン学長「でも猫の反応は訓練後の方が良かったんだよね?」
いち教授「その組み合わせが、量より選択を見る大切さを教えてくれる。」
この回でわかること
- 身体接触時間は訓練前の方が長かった
- 接触の開始者は区別されていない
- 長さではなく、開始・停止・その後の選択を見る
長い接触と肯定的反応は一致しなかった
身体接触の平均時間割合は、訓練前0.6795、訓練後0.6057でした。訓練前の方が有意に長い結果です。
一方、訓練後はすり寄り、前足でこねる、耳を前・中立に保つなどの行動が増え、対立・葛藤関連行動は減りました。
この研究では、身体接触を猫が始めたのか、人が始めたのかを区別していません。長く触れていた事実だけを、猫がもっと求めていた証拠にはできません。
触らない時間もふれあいの一部
CAT指針は、人が3〜5秒ごとに手を止め、猫が再び接触するかを見る方法です。訓練後に接触時間が短くなったのは、人がより手を控えたためかもしれないと著者らは考えています。
マロン学長「手を止めて一緒にいる時間も、関係が途切れたわけじゃないんだね。」
いち教授「うん。猫が選び直せる余白も、ふれあいの質を支えるよ。」
人へ近づく頻度と接触開始回数は、訓練前後で有意差がありませんでした。CATを使えば猫が必ず近づく、接触が増えるという研究ではありません。
三つの出来事として記録する
家庭では、接触を一つの長い出来事にせず、次の三つに分けて見られます。
- 開始: 猫と人のどちらが近づき、接触したか。
- 停止: 人が手を止めた時、猫の体と距離はどう変わったか。
- その後: 猫がすり寄り直したか、近くへ残ったか、離れたか。
時間を競ったり、回数をノルマにしたりする必要はありません。猫が参加・休憩・終了を選べるかを見ます。
研究から持ち帰る範囲
この研究は1施設の人へ社会化された猫と、初対面の人の5分セッションです。家庭の長期関係、怖がりの猫、医療処置、抱き上げ、爪切りを調べていません。
前後順固定、非盲検、多重比較補正なしという限界もあります。CATは事故を防ぐ保証ではなく、猫の選択を減らさず、小さな変化へ早めに気づくための考え方です。
今日からできること
- 接触の長さではなく、誰が始め、止めた後に猫が何をしたかを見る
- 手を止めた時に猫が離れたら、追わずに終了する
まとめ会話
マロン学長「長く触れたから成功、短かったから失敗ではないんだね。」
いち教授「そう。猫が自分で参加し、休み、終えられることを大切にしよう。」
マロン学長「Cで選択を返し、Aで反応を見て、Tで触る場所を考える。」
いち教授「その三つを、目の前の猫の個体差に合わせるのがCATだよ。」
講座を終えて
ふれあいの良さは、触れた秒数だけでは測れません。手を止める間を作り、猫の次の選択を待つことから始めましょう。