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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座068第1回 / 全5回

猫はどの猫サインを長く見る?

猫24匹へ、反り背、しっぽを立てた接近、転がる姿勢、うずくまりの写真を見せた研究を紹介します。長く見ることと、怖がる・感情を理解することを分けて読み、限界も確認します。

いち教授
いち教授
講座068

導入会話

マロン学長「別の猫が背中を丸くしていたら、ぼくもつい見ちゃう気がする。長く見たら、怖がっているってことなのかな?」 いち教授「まず、見た時間と気持ちは別のものとして整理しよう。」 マロン学長「同じ写真でも、姿勢によって見る時間が変わるの?」 いち教授「24匹へ4種類の全身写真を見せた研究から確かめてみよう。」

この回でわかること

  • 4種類の全身写真
  • 反り背を長く見た結果
  • 注視時間から言えないこと

4つの姿勢を実物大で見せた

2026年にPeerJで発表された研究では、家庭で暮らす猫24匹へ、別の猫の全身写真を見せました。

写真は、しっぽを立てて近づく「接近」、横になって体を転がす「転がる姿勢」、背中を反らせる「反り背」、低く身を縮める「うずくまり」の4種類です。

研究者は、接近と転がる姿勢を快側、反り背とうずくまりを不快側に分けました。さらに、接近と反り背は活動的、転がる姿勢とうずくまりは受動的に分けました。

写真は、目と目の間が3.5cmになるよう大きさをそろえ、実物大の切り抜きにしました。各姿勢には別々の猫による3つの例があり、対象猫ごとに1つが選ばれました。

実物大でも、静止した写真は実物の猫ではありません。匂いも動きも声もなく、触れても相手は反応しません。

マロン学長「本物らしい大きさだけど、本物との出会いをそのまま再現したわけじゃないんだね。」

反り背は22秒ほど見られた

1試行は2分間でした。猫が写真の方向を見た時間を合計すると、反り背は平均22.61秒でした。しっぽを立てた接近は11.53秒、転がる姿勢は8.68秒、うずくまりは7.33秒です。

研究上、反り背はほかの3姿勢より長く見られたと判断されました。見る回数でも、反り背は平均4回、うずくまりは2.25回で差がありました。

ここで、不快側の写真なら全部を長く見たわけではない点が大切です。同じ不快側でも、受動的なうずくまりは長く見られませんでした。

猫の注意は、快・不快の方向だけでなく、姿勢の活動性や目立ちやすさにも関わる可能性があります。

マロン学長「『不快そうだから見る』だけでは、うずくまりとの違いを説明できないんだ。」

長く見ることは気持ちの答えではない

注視時間は、刺激へ注意を向けた長さです。何かが危険に見えた時にも、初めて見る形が気になった時にも、確かめたくて見続けることがあります。

この実験では、猫へ「何を感じたか」を尋ねられません。心拍などの生理反応も測っていません。長く見たという行動だけから、「怖いと理解した」「相手の感情を読んだ」とは決められません。

刺激へ近づくまでの時間や、50cm以内・150cm以内で過ごした時間にも、分類による差は確認されませんでした。

見た時間の差を、そのまま接近・回避や内面の差へ広げないことが研究を正確に読む鍵です。

家庭でも、一つの姿勢を見た瞬間に感情名を付けるより、直前の出来事、相手との距離、逃げ道、その後の動きを重ねて見る方が、行動を丁寧に追えます。

今日からできること

  • 姿勢を見たら、相手との距離と直前の出来事も見る
  • 一つのサインだけで気持ちを決めない

まとめ会話

マロン学長「反り背は長く見られたけれど、『怖いと理解した』まで同じ結果じゃないんだね。」 いち教授「そうだよ。見た時間、近づいたか、ほかの行動が出たかを分けよう。」 マロン学長「写真の分類がどう作られたのかも気になってきた!」 いち教授「次は24匹・192試行の組み方と、予定していた分析かどうかまで読もう。」

次回予告

第2回は、4つの分類、動画記録、事前登録と探索的分析を深く読み、評価者間一致も確認します。

参考文献

Spoelstra KE, et al. Purr-ceiving feelings: domestic cats respond to intraspecific cues of emotion. PeerJ. 2026;14:e21292. https://doi.org/10.7717/peerj.21292

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