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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座035第4回 / 全5回

働きかけがないと、しっぽ振りは増える?

何もしない条件でしっぽ振りの75秒換算値が多かった結果を紹介し、調整値の意味と感情を断定しない注意点を整理します。

いち教授
いち教授
講座035

導入会話

マロン学長「近づく速さ以外にも、何か変わったところはあったの?」

いち教授「しっぽを振る行動に、はっきりした違いが出たんだ。」

この回でわかること

  • しっぽ振りの数値は75秒換算した調整値
  • フラストレーションは著者の解釈であること
  • しっぽだけで気持ちは断定できないこと

何もしない条件で、しっぽ振りが多かった

しっぽを左右にゆっくり振る行動は、何もしない条件で13.98±5.21秒、視覚条件で8.6±5.03秒、複合条件で0.39±0.28秒、声条件で11.61±5.51秒でした。これらは実測した生の秒数ではなく、猫ごとの観察時間をそろえるため (行動時間 ÷ 観察時間) × 75 で換算した調整済み時間です。

統計的には、対照は視覚・複合より多く、声は複合より多い結果でした。「対照が全条件より多い」「視覚と声が違う」といった未報告の比較までは言えません。

マロン学長「無視されてるときに、しっぽをよく振ってたんだね。」

いち教授「そうなんだ。しっぽを左右に振る動きは、猫がフラストレーション(欲求不満)を感じる場面で見られることがある、と言われているんだよ。」

論文では、見知らぬ人にただ無視される状況が、猫にとって心地よくない、あるいはフラストレーションを感じる状況だった可能性が指摘されています。逆に、視線を伴う複合条件では、しっぽを振る行動がほとんど見られませんでした。

他の行動には、はっきりした差がなかった

鳴く、瞬き、視線をそらす、匂いを嗅ぐ、毛づくろい、移動、耳を動かす、実験者を見る、飼い主を見る、しっぽを立てるという行動には、4条件のあいだで統計的な差は見られませんでした。

マロン学長「しっぽを振る以外は、あまり変わらなかったんだね。」

いち教授「うん。ただし、対象がたった12頭という少なさも影響しているかもしれない、と研究者たちも書いているよ。差がなかった、というより、差を検出しきれなかった可能性も残っているんだ。」

2つの猫カフェ(ボルドーとトゥールーズ)のあいだでは、近づくまでの時間・しっぽを振る行動のどちらにも差はありませんでした。

著者らは実験前に、猫は相手の合図に合わせて自分の合図を変えるだろう、と予想していました。声で呼びかけられれば鳴き声で返し、視覚的な合図には尻尾を立てて応じるのではないか、という見立てです。結果は、鳴き声もしっぽ立ても条件による差がなく、予想は支持されませんでした。猫が人に合わせて合図を選ぶかどうかは、この実験の規模では確かめられなかったことになります。「差がなかった」と「合わせない」は同じではない、という読み方がここでも大切です。

しっぽの動きだけで決めつけない

しっぽを振る行動を「フラストレーション」と解釈する部分は、先行研究をもとにした考察であり、この研究自体がしっぽの動きの意味を直接証明したものではありません。

家庭で応用するときも、しっぽを振っているからといって、それだけで「嫌がっている」「不満だ」と断定するのは避けた方が安全です。耳の向き、体の硬さ、距離の取り方、その前後の状況を合わせて見る姿勢が大切です。

今日からできること

  • しっぽを振ったら、耳、体の硬さ、距離、退路と前後の行動も見る
  • 研究の換算秒を家庭で測る基準にはしない

まとめ会話

マロン学長「無視されるとしっぽを振るって、なんだか人間っぽいね。」

いち教授「そうだね。ただし、断定はしすぎないようにしよう。次回は、この研究を家庭でどう活かすかをまとめるよ。」

次回予告

第5回は、この研究を家庭での猫との関わり方にどう活かすかをまとめます。

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