毎日20:00更新
ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座047第1回 / 全5回

広さが違うと、猫はどれだけ動くのか

室内と屋外運動場で暮らす猫の移動距離を比べた第1回。約1.8倍の差と、その差を広さだけで説明できない理由を整理します。

はち助教授
はち助教授
講座047

導入会話

マロン学長「うちの中だけで暮らしてる猫って、どれくらい動いてるんだろう。」

はち助教授「いい着眼点ね。今回は、その『どれくらい』を装置で測った研究を見ていきましょう。」

マロン学長「測れるんだ!」

はち助教授「ええ。ただし、家庭の猫を測った研究ではないの。そこを先に押さえておきましょうね。」

この回でわかること

  • 広い場所で暮らす猫は、1日に約1.8倍の距離を動いていた
  • この研究が比べたのは、家庭の室内飼いと外飼いではない
  • 差の原因を、広さだけに求められない理由

21日間、10分ごとに記録した

Parkerら(2022)は、対照的な2つの環境で暮らす猫を、同じ時期に同じ方法で記録しました。

一方は南フランスの猫舎の室内で、1部屋が約29平方メートル。1匹あたりにすると約3.6平方メートルです。もう一方は北フランスのシェルターの屋外運動場で、草や木のある約1145平方メートル。1匹あたり約42.4平方メートルになります。

どちらの猫も首輪に2つの装置をつけました。ひとつは電波で位置を測って移動距離を出すもの、もうひとつは個体を見分けて食べた量を量るものです。10分ごとの記録が、2016年7月の21日間、自動でたまっていきました。

マロン学長「首輪だけで、そんなに分かるんだ。」

はち助教授「歩いた距離も、いつ何グラム食べたかも残るのよ。人が見張っていなくていいから、猫の様子が変わりにくいという利点もあるわ。」

1日に約4.3kmと、約2.3km

結果はこうです。1日の移動距離は、屋外グループが平均約4.3km、室内グループが約2.3kmでした。偶然だけでは説明しにくい差です。

運動場は室内の約39倍の広さで、草も虫もいます。走れる距離があり、確かめたいものが多い場所では動く量が増える。ここは順当な結果といえます。

この数字を、家の猫に当てはめない

ただし、注意したいことがあります。

この研究が比べたのは、家庭の室内飼いと外飼いではありません。どちらも囲いの中の暮らしです。そのうえ2つのグループは、広さ以外もまるごと違います。

  • 年齢が1〜2歳と、1〜12歳
  • 品種が6つの純血種と、ヨーロピアン種
  • 由来が最初からペットの猫と、多くが元野良猫
  • 一緒に暮らす頭数も、場所も、天候にふれるかどうかも違う

この結果だけから「広さが違うから動く量が違った」とは言い切れません。年齢の差だけでも、動く量は変わります。

マロン学長「じゃあ、うちの猫が2kmくらいなら普通、とかも言えないんだね。」

はち助教授「言えないわ。この数字は、この施設のこの季節のもの。目標値として使うものではないのよ。」

今日からできること

  • 研究の数字を、うちの猫の運動量の合格ラインにしない
  • 動く量が気になるときは、他の猫とではなく、その猫の普段と比べる
  • 広さを変えられなくても、動ける場所と確かめられるものが家にあるかを見る

まとめ会話

マロン学長「差はあったけど、理由は広さだけじゃないんだね。」

はち助教授「そう。違いがいくつも重なっているの。数字を見たら、まず何と何を比べた数字なのかを確かめる癖をつけましょう。」

マロン学長「次は何を見るの?」

はち助教授「次回は、環境が違っても変わらなかったところを見ていくわ。そちらの方が面白いかもしれないわね。」

参考文献

  • Parker M, Serra J, Deputte BL, Ract-Madoux B, Faustin M, Challet E. Comparison of Locomotor and Feeding Rhythms between Indoor and Outdoor Cats Living in Captivity. Animals. 2022;12(18):2440. https://doi.org/10.3390/ani12182440

講座トップ第2回 →
医療情報の取り扱い

本サイトの記事は、学術論文をAI技術を用いて要約・翻訳したものであり、獣医師による診断・治療に代わるものではありません。愛猫の健康状態に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。