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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座046第1回 / 全5回

猫の声に「その子らしさ」はどれくらい入っている?

猫の声に個体の情報がどれくらい含まれるかを、録音と音響解析で調べた方法を紹介する第1回です。

いち教授
いち教授
講座046

導入会話

マロン学長「うちの猫の声って、ぼくにはちゃんと『うちの子の声』に聞こえるんだ。」

いち教授「そう感じる人は多いね。じゃあ、その感じは声のどこから来ているんだろう。」

マロン学長「うーん、なんとなく……としか言えないなあ。」

いち教授「今日はそこを、音を測って調べた研究を見よう。」

この回でわかること

  • 動物の声には「その個体らしさ」が入っていることがある
  • この研究はニャーとゴロゴロという2つの声を比べた
  • どうやって集め、どうやって比べたのか

声の個性は、多くの動物で調べられてきた

動物の声には、性別や年齢のほかに、その個体だけの特徴が含まれることがあります。仲間を見分ける手がかりになるため、多くの動物で調べられてきました。

ただ、同じ動物でも声の種類はいくつもあります。声の種類によって、そこに入る個体の情報の量が違うかもしれません。実際、鳥やサルの研究では、落ち着いた場面の声の方が個体らしさが強く、危険を知らせる声では弱まる、という報告があります。

猫でこれを比べた研究は、これまでありませんでした。

マロン学長「猫の声って、何種類くらいあるの?」

いち教授「古い研究では21種類が挙げられているよ。今回はそのうち、性質が大きく違う2つを取り上げているんだ。」

ニャーとゴロゴロ

ひとつはニャーです。口を開けて出す、比較的高い声で、場面によって長さも高さも変わります。猫同士ではあまり使われず、人に向けて使われることが多いと考えられています。

もうひとつはゴロゴロです。口を閉じたまま、息を吐くときにも吸うときにも出る、低くて小さな音です。体の震えを伴い、長く続くこともあります。

研究者の最初の予想は、人とやりとりするために使われるニャーの方が、個体らしさを強く伝えるだろう、というものでした。

集め方

録音は2020年から2021年にかけて、ベルリンの12の家庭と2つのシェルターで行われました。対象は27匹の猫です。

集音マイクを猫の口から2〜20cmまで近づけ、1匹あたり1〜5日、1日1時間ずつ録音しました。ニャーは食事を待つ場面や人の関心を求める場面で、ゴロゴロは撫でている場面で録っています。

集まった声から音の特徴を数値として取り出し、統計モデルに「この声はどの猫のものか」を当てさせます。当たる割合が高いほど、その声に個体の情報が多く入っていることになります。

マロン学長「機械に聞き分けさせるんだ。」

いち教授「そう。人が耳で聞き分けられるかを調べた研究ではない、という点は覚えておこう。」

今日からできること

  • 猫の声を「鳴き声」とひとまとめにせず、種類ごとに分けて聞いてみる
  • ニャーとゴロゴロで、長さや高さがどれくらい違うかを意識する

まとめ会話

マロン学長「同じ猫の声でも、性質が全然違うんだね。」

いち教授「うん。だから比べる価値があるんだ。次回は、その結果を見よう。」

マロン学長「予想はニャーの方が強い、だったんだよね?」

いち教授「そう。それが外れたところから、話が面白くなるよ。」

参考文献

  • Russo D, Schild AB, Knörnschild M. Meows encode less individual information than purrs and show greater variability in domestic than in wild cats. Scientific Reports. 2025;15:43490. https://doi.org/10.1038/s41598-025-31536-7

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