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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座069第4回 / 全5回

家庭猫と猫カフェで結果が違ったのはなぜ?

四つの同居猫名の後に自分の名前を聞かせた実験で、家庭猫と猫カフェ猫に違いが出ました。馴化した猫の偏り、1施設だけの比較、同居数や呼び方の交絡から結果を慎重に読みます。

いち教授
いち教授
講座069

導入会話

マロン学長「猫がたくさんいる場所だと、自分の名前を聞き分けにくくなるのかな?」

いち教授「実験2では家庭猫と猫カフェ猫に違いが出たけれど、環境が原因とはまだ言えないよ。」

マロン学長「同じ方法で比べても、ほかの条件が違うの?」

いち教授「馴化した数、同居猫数、名前が呼ばれる場面を分けて見よう。」

この回でわかること

  • 同居猫名を使った実験2の結果
  • 家庭猫と猫カフェ猫で馴化率が違ったこと
  • 観察された差を環境の因果へしない読み方

四つの同居猫名の後に自分の名前

実験2には、少なくとも5匹の猫と暮らす一般家庭の猫24匹と、1軒の猫カフェの猫10匹が参加しました。最初の四つには、同じ場所で暮らす別の猫の名前を使い、5番目に対象猫自身の名前を再生しました。

一般名詞と違い、同居猫の名前も日常で繰り返し聞く語です。聞き慣れた音同士を比べることで、自分の名前が単によく耳にする語だから反応したという説明を減らそうとしました。

家庭では飼い主、猫カフェでは経営者が刺激を録音しました。どの語も普段名前を呼ぶ時と同じ調子で発音され、隠れたスピーカーから順番に再生されました。

実験2が比べたのは、自分の名前と、同じ生活空間で聞く別の猫の名前です。

マロン学長「どれも聞き慣れた名前なら、音の親しみだけでは区別しにくくなるね。」

家庭猫6匹は全て反応を戻した

実験2で馴化基準を満たしたのは34匹中15匹でした。家庭猫は24匹中6匹、猫カフェ猫は10匹中9匹です。

家庭猫の6匹は全て、4番目の同居猫名より5番目の自分の名前で反応を大きくしました。猫カフェ猫は9匹中3匹が反応を回復しました。統計でも、刺激の種類と生活環境の組み合わせに差がありました。

ここで6対9という、馴化した猫だけの小さな集団を比較している点が重要です。家庭猫では参加した24匹のうち18匹が主要比較へ入りませんでした。家庭猫全体が高い精度で自分の名前を区別したという結果ではありません。

反応を回復した割合だけでなく、主要分析へ入るまでに何匹が除かれたかも一緒に見ます。

猫カフェだからとは決められない

著者らは、猫カフェでは一つの猫の名前が呼ばれた時に、複数の猫が食事や撫でることを得る場合があると考察しました。そうした経験が多ければ、名前と一個体との結びつきが家庭より曖昧になる可能性があります。

同居猫数も違います。猫カフェには多くの猫がいて、名前が日常で使われる回数や、一匹ずつ呼ばれる場面も家庭と同じとは限りません。周囲の猫や人の動き、音の多さも異なる可能性があります。

しかし対象となった猫カフェは1施設だけです。施設固有の呼び方、猫の構成、暮らし方と「猫カフェ」という環境を分けられません。猫を家庭と猫カフェへ無作為に割り当てた研究でもありません。

マロン学長「違いは見えたけど、原因の候補が一つに絞れていないんだ。」

一般名詞なら猫カフェ猫も区別した

実験3では、家庭猫20匹と猫カフェ猫9匹へ、同居猫名ではなく一般名詞を聞かせました。21匹が馴化し、13匹が自分の名前で反応を回復しました。家庭と猫カフェの明確な差は確認されませんでした。

この結果は、猫カフェ猫が自分の名前を全く区別できないという解釈と合いません。一般名詞となら区別できても、同じ空間で頻繁に聞く別の猫の名前との区別は難しかった可能性があります。

一方、実験3の29匹中26匹は実験2にも参加しています。全く別の集団で再現した結果ではありません。先の実験を経験したことが後の反応へ与える影響も、完全には除けません。

猫カフェ猫の能力を一括評価せず、何と何を比べた時の結果かを残します。

暮らしの多頭環境へどう持ち帰るか

多頭飼いで一匹ずつ名前を呼ぶこと自体を変える必要はありません。呼ぶ時に対象の猫へ視線や体の向きを合わせ、落ち着いた場面で一匹ずつ関わると、名前と経験の対応はわかりやすくなります。

ただし、この研究から「似た名前は避けるべき」「何音の名前が最適」といった命名ルールは作れません。名前の音の特徴ごとの学習しやすさを比較していないからです。

名前を間違えたり、別の猫を呼んだ時に反応したりしても、能力不足と決めません。その場にいた全員が食事や注目を期待した可能性もあります。普段の関わりの文脈を重ねて観察します。

今日からできること

  • 多頭環境では、呼ぶ相手へ体と視線を向ける
  • 一度の反応で、名前を理解した・混同したと決めない

まとめ会話

マロン学長「差は出たけど、猫カフェは1施設で、馴化した数も偏っていたんだね。」

いち教授「そうだよ。同居数や呼び方も重なるから、環境の因果にはできない。」

マロン学長「一般名詞との比較では猫カフェ猫にも反応回復があった。」

いち教授「比較相手を残して読むのが大切だね。最後は聞き分けと行動選択を整理しよう。」

次回予告

第5回は、名前の音列を区別することと、呼ばれて来ること、自己概念、愛情を分けます。

参考文献

Saito A, et al. Domestic cats (Felis catus) discriminate their names from other words. Scientific Reports. 2019;9:5394. https://doi.org/10.1038/s41598-019-40616-4

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