2005人に何を聞いたのか?調査の中身を見る
ニュージーランド全国の2005人を対象にした調査で、猫の福祉・野生動物保護・夜間の室内飼育への「気持ちの強さ」がどう測定されたのかを詳しく見ていきます。

導入会話
マロン学長「今回はどんな人たちに聞いたの?」
いち教授「ニュージーランド全国の消費者パネルから、地域ごとの人口比に応じてランダムに選ばれた2005人だよ。2023年4月から約4週間、オンラインで調査が行われたんだ。誰に、何を、どう聞いたかを見ていこう。」
この回でわかること
- 調査対象はニュージーランド全国の2005人(サンプルには偏りあり)
- 猫の福祉・野生動物保護・室内飼育それぞれへの「気持ちの強さ」を複数の質問で測った
- 18の信念を統計的にまとめ、気持ちの強さや態度との関係を分析した
ニュージーランド全国から2005人
回答者のうち約45%が女性で、年齢層は国の統計よりやや高め、学士号以上の学歴を持つ人の割合は人口全体より高いというサンプルの偏りがあったことも報告されています。世帯収入がNZD 50,000を超える世帯もやや多めでした。民族構成でも、ニュージーランド系ヨーロッパ人が多く、マオリ、太平洋諸島系、アジア系は少なくなっています。
回答者は市場調査会社のパネルに登録している人たちで、回答すると報酬を受け取ります。参加は任意で、どの質問も飛ばすことができました。猫の飼い主だけでなく、犬の飼い主や、猫を飼ったことがない人も含まれています。飼い主と非飼い主の考え方の違いを比べることも、研究の目的の一つでした。
マロン学長「完全に『平均的な国民』というわけではなさそうだね。」
いち教授「そうなんだ。だから、この結果をそのまま『みんなそうだ』と受け取るのではなく、あくまで今回のサンプルでの傾向として見る必要があるよ。」
「気持ちの強さ」をどう測ったのか
この研究のポイントは、「猫の福祉」「野生動物保護」「夜間の室内飼育」という3つのテーマそれぞれについて、回答者がどれくらい強く関心を持っているか(インボルブメント、動機づけの強さ)を測定したことです。
具体的には、それぞれのテーマについて「大切だと思うか」「情熱を感じるか」「決断が難しいと感じるか」「自分らしさに関わることだと感じるか」といった、10前後の質問文に5段階で回答してもらう形式が使われました。質問は、重要性、報われる感覚や情熱、自分らしさとの結びつき、間違えた時の深刻さ、決断の難しさという5つの側面を押さえるように組まれています。
マロン学長「『大切だと思うか』だけじゃなくて、いろんな角度から聞いてるんだね。」
いち教授「うん。『関心の強さ』は一つの質問だけでは測りきれないから、複数の側面から確認しているんだ。」
さらに、夜間の室内飼育・首輪の警告装置・忌避策という3つの対策への「態度(賛成か反対か)」も、それぞれ3つの文への回答から測定されました。たとえば「飼い猫は夜間屋内に入れるべきだと思う」「夜間の室内飼育は正しいことだと思う」「夜間の室内飼育は間違っていると思う」の3文です。加えて、「猫は野生動物への危険だと思うか」「室内飼育は猫にとって不自然で有害だと思うか」といった18の信念についても質問しています。質問の順番は回答者ごとにランダムにして、順序による偏りを避けています。
データはどう分析されたのか
18の信念に関する質問は、統計的な手法(因子分析)でいくつかのグループにまとめられました。これは、似た内容の質問をまとめて扱いやすくするための手続きです。その結果、5つのグループでデータのばらつきの60%を説明できることがわかりました。
5つのグループは、①室内飼育や首輪は不自然で有害だという信念、②外を歩き回るのは猫にとって危険だという信念、③猫は迷惑で健康上のリスクだという信念、④猫は野生動物への危険だという信念、⑤捕食を防ぐ装置は効かないという信念です。飼い主と非飼い主を比べると、飼い主は①と⑤を信じやすく、③と④を信じにくい傾向がありました。
その他の分析には、回帰分析という統計手法が使われ、「気持ちの強さ」や「態度」が、実際の行動(夜間の室内飼育の頻度など)にどう影響しているかを数値で確認しています。
今日からできること
- 研究の数字を見る時は「誰に聞いたか」を先に確かめる癖をつける
- 自分が5つの信念のどれを強く持っているか、当てはめてみる
- 「室内飼育は不自然」と感じるなら、その感じ方が飼い主に多いことを知っておく
まとめ会話
マロン学長「けっこう細かく調べているんだね。」
いち教授「そうだね。次回は、いよいよこの調査でわかった、ちょっと意外な発見を紹介するよ。」
次回予告
第3回は、野生動物保護への関心が強いほど、かえって夜間の室内飼育の頻度が下がるという意外な発見を見ていきます。