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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座066第2回 / 全5回

138項目から7因子へ——質問紙を深く読む

猫4,316匹の性格研究で、138項目の質問紙から7因子を作った手順を解説します。初期データの除外、欠測、因子分析、43%の説明率、回答者調査の限界を学びます。

いち教授
いち教授
講座066

導入会話

マロン学長「4,316匹も集めたなら、すぐに正確な性格診断が作れそう!」 いち教授「数が多いことは大切だけれど、回答の集め方と項目の選び方も見ないといけないよ。」 マロン学長「最初から7つの性格を決めて質問したの?」 いち教授「138項目への回答から、似た動きをする項目のまとまりを探索したんだ。」

この回でわかること

  • 質問紙の作り方と対象
  • 4,494匹から4,316匹への整理
  • 因子分析と43%の説明率

先行質問紙と9人の専門家

質問紙は主にFe-BARQという既存の猫行動質問紙を基に、フィンランドの飼育事情へ合わせて調整されました。

獣医師、行動コンサルタント、トレーナー、動物福祉委員、ブリーダーなど9人が内容を確認しました。行動区分は138項目で、「まったくそう思わない」から「強くそう思う」までの5段階と「分からない」で答えます。

専門家が確認したことは内容の材料ですが、それだけで信頼性や妥当性が保証されるわけではありません。

初期4,494匹から最終4,316匹へ

初期データは4,494匹でした。不確かな年齢、名前・性別の不足、死亡情報、重複、欠測の多い回答などを条件に沿って除き、最終4,316匹になりました。

欠測が24.1%を超える質問20項目も、因子分析の前に除かれました。さらに再検査や別回答者で安定しない項目、どの因子にも十分に関係しない項目を段階的に外しました。

性別未回答の3匹は、連絡しても回答がなかったため、猫のニックネームから雄雌を分類しています。このような処理も、データ品質を読む時の注意点です。

回答が一緒に動く項目をまとめる

因子分析は、多数の質問への回答から、一緒に高くなったり低くなったりする項目をまとめる方法です。

研究チームは1~11因子の構造、スクリープロット、平行分析、MAPテスト、適合度指標を比較し、7因子が最も一貫していると判断しました。分析前の適切性を示すKMOは0.90でした。

7因子の説明率は43%です。因子分析は猫の中に7つの器官を発見したのではなく、回答パターンを要約したものです。

飼い主回答のデータ

最終データは雌49%、不妊・去勢済み69%、年齢中央値4.9歳でした。56品種などを26品種群へ整理しています。

ただし、募集は主にソーシャルメディアで、参加者が自分で回答するオンライン調査です。フィンランドの猫全体を無作為に選んだわけではありません。品種、年齢、性別も基本的に飼い主申告です。

日本の家庭向けに質問を翻訳した場合も、言葉や飼育文化が変われば同じ結果になるとは限りません。

📄 論文を深く読む

大規模データでも、対象の集め方、除外、欠測処理、因子数の決め方を確認する必要があります。4,316匹という数は強みですが、無作為抽出や日本語版の検証を代わりにしてくれる数字ではありません。

今日からできること

  • 質問紙研究では、最初の対象数と最終解析数を分けて読む
  • 因子数だけでなく、説明率と回答者の集め方も確認する

まとめ会話

マロン学長「138項目をそのまま7つへ分けたのではなく、欠測や信頼性も見ながら絞ったんだね。」 いち教授「そうだよ。4,316匹は大規模だけれど、参加の偏りや飼い主回答という性質は残るんだ。」 マロン学長「7因子が説明したのは43%。全部を表す診断じゃない。」 いち教授「次は、同じ人や別の人が答えた時の安定性を見よう。」

次回予告

第3回は、再検査信頼性と評価者間信頼性の違いを学びます。

参考文献

Mikkola S, et al. Reliability and Validity of Seven Feline Behavior and Personality Traits. Animals. 2021;11(7):1991. https://doi.org/10.3390/ani11071991

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