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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座217第5回 / 全5回

獲物を持ち帰らなくても——カメラが見た狩り

持ち帰り獲物だけで捕食を測れない理由と、研究を個別予測に使えない限界を整理します。

いち教授
いち教授
講座217

導入会話

マロン学長「うちに獲物を持ってこない猫なら、外では狩りをしていない?」
いち教授「この研究のカメラは、家からは見えない狩りも撮っていたよ。」

この回でわかること

  • 持ち帰り1件と捕獲31件の差
  • 家で見える獲物と外での捕食が別であること
  • 5回を通した研究の扱い方のまとめ

捕獲31件、持ち帰り1件

13匹の猫の昼間の動画で、31件の獲物の捕獲が確認されました。そのうち家へ持ち帰られたのは1件です。捕獲した獲物のうち21件は食べられ、持ち帰りの記録に残りません。成功しなかった29件の追跡も、家の中からは分からない行動です。

家で見つけた獲物の数と、外での捕食の数は同じではありません。持ち帰らないから狩りをしない、と決めない理由になります。

著者らは、持ち帰りの記録には獲物の種類にも偏りがあると指摘しています。飼い主が種を判別できない、獲物が傷んでいるといった制約があるためです。カメラの映像では獲物が比較的そのまま映るので、種の同定を助けます。ただし映像の分析には時間がかかり、すべての捕食を記録できるわけでもありません。

昼間に記録された屋外時間は平均およそ2.5時間で、著者らは1匹あたりの昼間の直接的な捕食量は低いと考えています。それでも、猫が外にいて獲物に姿を見せたり気配を感じさせたりする時間は、野生動物の側にとって意味があり得るとし、郊外の猫の密度の高さにも注意を促しています。夜間だけの管理では、昼間の捕食は扱えない、という指摘もあります。

1/31をすべての猫の割合にしない

研究はフランスの同じ郊外、春の昼間に、装置を受け入れた猫を追いました。夜間や別の季節、別の環境では獲物の種類や猫の動きが変わるかもしれません。31件中1件を「猫は何%の獲物を持ち帰る」と一般化できません。撮影できた時間も、猫が実際に外にいた全時間ではありません。

性格を地図や確率にしない

5回を通して、飼い主が見る性格、GPSの行動圏、カメラの狩りを分けてきました。行動圏への性格の関連は有意でなく、捕食の関連も小さな観察研究です。脱走後の居場所や帰宅確率、個々の猫の狩りの回数を、ここから求めることはできません。

外出管理のGPS研究は普段の移動と管理条件、本講座は性格とGPS・カメラの行動を扱います。持ち帰り獲物に関する既存の狩り対策研究とも、測り方を混ぜないことが大切です。

この研究の限界

装置の数と使いにくさ、ソフトウェアの不具合、紛失によって、標本と記録期間は限られました。夜間は撮影しておらず、季節も3〜5月だけです。対象は同じ小さな地域で、猫用の出入口を自由に使う避妊去勢済みの飼い猫で、野良猫や他の地域には一般化できません。庭の中の隠れ場所や野生動物を引き寄せる小さな環境の違いも評価できていません。著者らは、より小型で使いやすい装置、昼夜のカメラ、飼い主が性格質問票と映像を提出する市民科学の可能性を今後の展望として挙げています。

この講座で決めないこと

  • 性格から個々の猫の行動圏や狩りの回数を予測すること
  • 脱走した猫の居場所や帰宅の見込み
  • 「人懐こい猫は狩りをしない」という一般化
  • 外出管理の方法や効果

今日からできること

  • 持ち帰り数だけで猫が狩りをしているかを判断しない
  • 性格・GPS・カメラそれぞれの限界を混同せず読む

まとめ会話

マロン学長「性格の印象も、家にある獲物も、外の行動の一部だけを教えてくれるんだね。」
いち教授「そう。見えたことと、まだ見えていないことを分けておこう。」

講座のまとめ

パリ南部の郊外で、自由に外へ出る飼い猫にGPSと装着カメラをつけた研究では、飼い主が評価した協調性・神経症傾向の高い猫で捕食時間が短い関連が見られ、行動圏との関連は有意ではありませんでした。カメラは31件の捕獲を記録しましたが、家に持ち帰られたのは1件だけでした。性格の印象、歩いた範囲、狩りは別々に測られたもので、性格から個々の猫の外の行動を予測することも、持ち帰りの有無から狩りの有無を決めることもできません。

参考文献

Berrand B, et al. (2026). Ecology and Evolution, 16, e73520. https://doi.org/10.1002/ece3.73520

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