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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座067第4回 / 全5回

トラとチーターにも同じ変化がある?

最初の家猫だけの変化ではないかを確かめるため、別の家猫6匹、トラ1頭、チーター1頭のTas1r2を調べました。3種の共通点と個体差、進化の前後関係を解説します。

いち教授
いち教授
講座067

導入会話

マロン学長「一匹のDNAで見つけた変化なら、猫みんなに共通とはまだ言えないよね。」 いち教授「その通りだよ。研究チームも別の家猫と、トラ、チーターで変化の周辺を確認したんだ。」 マロン学長「大型ネコ科まで同じだったの?」 いち教授「共通部分はあったけれど、調べた範囲と数を忘れずに読もう。」

この回でわかること

  • 追加確認に使った個体数
  • 3種で共通した変化と家猫内の違い
  • 食性と遺伝子変化の順番を決められない理由

最初のライブラリーは1匹由来だった

遺伝子探索に使った猫のBACライブラリーは、1匹のDNAから作られていました。そこに247塩基対欠失があっても、その猫だけのまれな変化という可能性は残ります。

研究チームは、互いに血縁のない健康な成猫6匹を追加しました。5匹は頬のぬぐい液、1匹は血液からDNAを得て、欠失と終止コドンの周辺をPCRで増やし、配列を読みました。

ここでの6匹は、砂糖水を飲ませた行動実験の対象ではありません。甘味への反応を6匹で比較したのではなく、遺伝子配列の共通性を確かめた対象です。

家猫6匹で共通した部分と違った部分

6匹のすべてに、エクソン3の同じ247塩基対欠失と、エクソン4の同じ位置にある終止コドンが確認されました。最初の1匹だけに限られた変化ではないという根拠になります。

一方、エクソン6の93〜95番には家猫内の違いがありました。2匹は両方の染色体でTGAという終止コドン、1匹は片方がTGA・片方がTGG、3匹は両方ともTGGでした。

すべての変異が全個体で完全に同じではありません。それでも、247塩基対欠失とエクソン4の複数の停止要因が共通するため、機能的なT1R2を作れないという全体像は変わらないと著者らは判断しました。

トラとチーターでの確認

トラ1頭とチーター1頭でも、同じ247塩基対欠失とエクソン4の同じ位置の終止コドンが見つかりました。エクソン6の別の終止コドンも3種に共通していました。

これは、家猫だけでなく調べたネコ科3種に共通する古い変化の可能性を支持します。先行する行動研究でも、家猫、トラ、チーターは甘味を加えた水を普通の水より好まなかったとされ、この分子結果と方向が合います。

ただし、大型ネコ科は各1頭です。ネコ科にはほかにも多くの種がいます。3種で確認した結果を、ネコ科全種の配列調査が終わったようには扱えません。

マロン学長「『ネコ科で見つかった』と『ネコ科すべてを調べた』は違うんだね。」

肉食と遺伝子変化はどちらが先か

論文は、甘味受容体を保つ自然選択の圧力が弱まる中で、Tas1r2 に変化が蓄積した可能性を論じています。犬には人と似た構造のT1R2があるため、猫側の変化はネコ型亜目とイヌ型亜目が分かれた後に起きたと推定しています。

それでも、猫の祖先が植物をほぼ含まない食性へ変わった後に遺伝子が機能しなくなったのか、遺伝子変化が先だったのかは決められません。

進化には目的があって必要な遺伝子だけを選んで捨てる、という意思はありません。変異が生じ、環境や食性のもとでその機能を保つ圧力が弱いと、変化が残りやすくなるという読み方が安全です。

今日からできること

  • 種をまたぐ研究では、種数と各種の個体数を確認する
  • 進化の説明で「必要だから変わった」と目的を持たせない

まとめ会話

マロン学長「家猫6匹とトラ、チーターにも共通部分があったけど、ネコ科全種の調査ではないんだね。」 いち教授「そうなんだ。共通祖先から受け継いだ可能性を支える結果として読もう。」 マロン学長「肉食と遺伝子変化のどちらが先かも決められない。」 いち教授「次は、この知識を目の前の食べ物への行動へ広げすぎない見方をまとめよう。」

次回予告

第5回は、甘い食品へ近づく猫の行動と、家庭へ持ち帰れる範囲を整理します。

参考文献

Li X, et al. Pseudogenization of a Sweet-Receptor Gene Accounts for Cats’ Indifference toward Sugar. PLoS Genetics. 2005;1(1):e3. https://doi.org/10.1371/journal.pgen.0010003

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