GPS参加77%、非追跡67%——小さな関連を大きく見せない
学びへ答えた371人の71%が新しいことを学んだと回答しました。追跡参加77%、非追跡飼い主67%、非飼い主74%という内訳、φ=.109の小さな関連、結果を見なかった19人だけの比較を整理します。

導入会話
マロン学長「参加者の71%が学んだなら、GPS追跡の教育効果は大きい?」
いち教授「まず分母は410人ではなく、学びへ答えた371人。そしてGPS参加だけの数字でもないよ。」
マロン学長「割合、群、効果の大きさを分けるんだね。」
この回でわかること
- 学び71%の正しい分母
- 77%対67%とφ=.109の意味
- 結果を返すことの可能性と限界
371人の71%が学びを自己申告
「Cat Trackerで新しいことを学んだか」へ答えた371人の71%が「はい」と答えました。内訳は、追跡参加者122人で77%、追跡されなかった猫の飼い主222人で67%、非飼い主27人で74%です。
ここでnは各群で質問へ答えた人数です。「追跡参加122人のうち77%」であって、122人全員が学んだという意味ではありません。
統計的に有意でも関連は小さい
猫飼い344人で追跡参加と学びを比べると、χ²(1)=4.069、p=.044でした。5%基準では有意ですが、関連の大きさφは.109で、論文も弱〜中程度と表現しています。
p値は「差が大きい」を意味しません。77%対67%という自己申告差が、この標本で偶然だけでは説明しにくいという検定と、実用上どれほど大きいかは別です。
結果を見た人ほど学んだ?
報告書、オンライン要約、メディア、友人などから結果を見聞きしたかでも比較しました。332人では、結果を見たかと学びに関連があり、χ²(1)=14.350、p<.001、φ=.208でした。
ただし結果を見ていない人は19人だけです。著者自身が暫定的と注意しています。結果を見た人は元々関心が高かった可能性もあり、「結果を送れば必ず学ぶ」という因果にはできません。
「分からない」は51.0%から10.7%へ
猫が家からどこまで行くと思うかを、元調査と評価調査の両方で答えた261人では、「分からない」が51.0%から10.7%へ減りました。
追跡参加者50人では推定距離が変化しました(p=.021)が、非追跡73人では有意な変化がありませんでした(p=.470)。追跡された猫の飼い主125人の46%は、猫が予想より遠くへ行ったと答えました。
これは猫一般の平均移動距離ではありません。選択肢への回答と、自分の猫の追跡結果への受け止めです。
何を学んだか
自由記述では、猫がどこへ行き、行動範囲がどれほどかというテーマが最も多く、個別の猫、地域の見方、猫同士の違い、性格、通った道、道路横断なども挙がりました。
参加者へ自分の猫の結果を返すことは、抽象的な注意より具体的です。ただし、性格レポート、地図、全体報告、メディアが重なっており、どれが学びへ寄与したかは分かりません。
今日からできること
- 割合の分母が全標本か回答者だけか確認する
- p値と関連の大きさを別々に見る
- 結果を見なかった群の人数も確認する
まとめ会話
マロン学長「71%は回答者371人の自己申告。追跡との関連も小さかったんだね。」
いち教授「それでも、結果を具体的に返す設計は考える価値がある。次は態度と行動を分けよう。」
次回予告
8.8%から44.7%を+410%とする表の読み方、27%対13%の自己申告、将来意図と実行を区別します。