「410%増」に驚く前に——ポイント差・自己申告・意図
追跡参加者で日中に猫を留める重要性は8.8%から44.7%へ変化し、表では+410.0%です。35.9ポイント増との違い、非追跡群の変化、行動変化27%対13%に群間検定がない点を読みます。

導入会話
マロン学長「室内へ置く意識が410%増えたって、ほぼ全員が変わったの?」
いち教授「違うよ。8.8%から44.7%への相対増加。割合の差は35.9ポイントだ。」
マロン学長「同じ変化でも、表し方で印象が大きく変わるね。」
この回でわかること
- 相対変化とポイント差の違い
- 態度と自己申告行動の違い
- 27%対13%を効果倍率にできない理由
日中の支持は二つの飼い主群で上がった
猫を家や囲いの中へ日中に留めることを「重要・とても重要」とした割合は、追跡されなかった飼い主193人で28.5%から60.6%へ変わりました。差は32.1ポイントです。
追跡参加者114人では8.8%から44.7%へ変わり、差は35.9ポイントです。どちらの前後差もp<.001でした。
+410.0%は何を表す?
8.8を基準にすると、44.7は約5.1倍です。増えた分35.9を8.8で割ると約4.1なので、表では+410.0%と示されました。
これは410ポイント増でも、参加者の410%でもありません。出発点が8.8%と低いため、相対変化が大きく見えます。割合を読む時は、前、後、ポイント差、相対変化を並べます。
夜間は出発点が高かった
夜間に留めることへの支持は、非追跡飼い主209人で77.0%から87.6%、追跡参加者117人で65.0%から82.1%へ変わりました。差は10.6ポイントと17.1ポイントです。
夜間は元々の支持が高いため、日中ほど相対的に増える余地がありませんでした。非飼い主25人では日中64.0%から76.0%、夜間92.0%から96.0%でしたが、有意差はありませんでした。
態度が変わっても行動とは限らない
元調査で完全室内だった人を除くと、管理を変えたと答えた割合は追跡参加者119人の27%、非追跡飼い主171人の13%でした。
論文は、この27%対13%について群間の有意差検定を報告していません。単純に「GPSで行動変化が約2倍」とは言えません。無作為割付ではなく、群の出発点も違います。
56人の記述と将来意図
変え方を答えた56人では、84%が猫を室内へ置く時間を増やしたと記述しました。11%は給餌パターン、5%は鈴・首輪・個体識別などを挙げ、2人は外出を増やしました。
これは全410人の84%ではありません。変えた内容を記述した56人が分母です。また、253人の50%は将来の猫を違う方法で管理すると答えましたが、将来意図は長期の実行ではありません。
今日からできること
- 相対%とポイント差を並べる
- 態度、自己申告行動、将来意図を別々に書く
- 小さな分母の割合を全体へ広げない
まとめ会話
マロン学長「8.8%→44.7%は35.9ポイント増。410%だけだと出発点が見えないね。」
いち教授「そして、態度が変わったことと行動が続いたことも同じではないよ。」
次回予告
情報の見せ方が反動を生む可能性、猫を責めない設計、家庭で借りられる記録と対話の考え方をまとめます。