21匹・自宅・飼い主が実施——市民科学の実験設計
英国15世帯の猫21匹が、自宅で透明・不透明、動く・固定の条件を経験しました。募集から動画提出、練習日、45秒の試行、評価者間一致まで市民科学の設計を確認します。

導入会話
マロン学長「研究者が21匹の家を一軒ずつ訪ねたの?」
いち教授「新型コロナ流行期だったので、研究キットを郵送し、飼い主が説明動画を見て実施したんだ。」
マロン学長「普段の家でできる良さはあるけれど、同じやり方になったかは気になるね。」
この回でわかること
- 38人の登録から15世帯21匹へ至る参加の流れ
- 練習日と4つの実験条件
- 家庭内市民科学で残る統制と評価一致の問題
参加者は大きく減った
英国で2021年4月から12月に募集し、飼い主38人が関心を登録しました。28人がオンライン調査を終えて研究キットを受け取り、16人・23匹が動画を提出しました。
1匹は練習でカップへ関与せず、別の1匹は4条件のうち3条件しか終えなかったため除外されました。最終解析は15世帯21匹です。
参加しやすいオンライン募集でも、最後まで動画を提出した家庭は登録者の半分以下です。完遂できた人と猫は、課題への関心、時間、猫の参加しやすさなどで偏る可能性があります。
研究キットが家庭へ届く
キットには網状・透明・不透明のカップ、円形トレー、固定用の部品、三脚、ストップウォッチ、説明書が含まれました。飼い主は動画でカメラ位置と手続きを確認しました。
報酬は、それぞれの猫が好む食べ物を飼い主が選びました。猫に合う報酬を使える点は家庭研究の強みです。一方、報酬の種類や飼い主の動作は家庭ごとに完全には同じでないかもしれません。
2〜4日の練習をした
最初は中身が見え、においも通る網状カップを使いました。猫がカップを倒して食べ物を得る経験を、最低2日、必要に応じて3日行いました。1匹は4日目も経験しました。
その後、動かせる日と固定した日を1日ずつ行いました。12匹は動かせる日が先、9匹は固定日が先です。各実験日には網状カップを最初に使い、透明・不透明の順序を調整して1回ずつ提示しました。
中心となる透明・不透明×動く・固定の比較は、21匹で84試行です。
論文を深く読む
各条件は猫1匹につき1試行だけです。毎日の気分、空腹、直前の経験が結果へ入ります。実際、動かせる日を先にしたかどうかと成功数に関連が見つかりました。
試行は成功または45秒で終わりました。倒せなくても、飼い主が最後にカップを上げ、猫は食べ物を得られます。練習を重ねる中で、「自分で倒さなくても待てばもらえる」と学習した可能性があります。
家庭研究では、猫を不慣れな施設へ移す負担を減らせます。その代わり、部屋、撮影角度、飼い主のタイミングなどの統制が弱くなります。
行動を2人で同じように読めたか
主担当者が全動画を評価し、副担当者が45試行を再評価しました。
鳴き声の一致は高い一方、装置への接触κ=.54、最初の視線交替までの時間ICC=.38、視線交替回数の相関=.34でした。項目によっては、二人の評価が十分にそろっていません。
飼い主への身体接触は9件しかなく、統計解析できませんでした。測ろうとした行動がほとんど出ないことも、研究設計から得られる情報です。
家庭で実施できた価値と、手続き・評価の揺れは同時に存在します。
今日からできること
- 市民科学研究では、登録者、キット受領者、完遂者、解析対象を分けて数える
- 行動指標を見るとき、評価者間一致と各条件の試行回数を確認する
まとめ会話
マロン学長「21匹が4条件をしたけれど、各条件は1回ずつなんだね。」
いち教授「うん。自宅でできた長所と、日ごとの揺れや手続きの違いを一緒に見よう。」
マロン学長「38人から15世帯へ減った流れも、結果の一部として覚えておくよ。」
次回予告
次回は成功数を読みます。透明14回、不透明3回だけでなく、動かせる日を先にした場合13回、固定日を先にした場合4回という順序差を確認しましょう。