透明なら14回、不透明なら3回——成功数と順序効果
動かせる条件42試行の成功は透明14回、不透明3回でした。一方、動かせる日を先にした場合13回、固定日が先なら4回です。透明性と順序を原著から丁寧に分けて読みます。

導入会話
マロン学長「透明14回、不透明3回なら、透明カップの方が簡単だったと言えそうだね。」
いち教授「今回の装置では成功数が多かった。ただ、どちらの日を先にしたかも成功と関係していたよ。」
マロン学長「見え方だけで決まったわけではないんだ。」
この回でわかること
- 動かせる条件42試行の成功内訳
- 動かせる日・固定日を先にした順序との関連
- 固定条件を完全な解決不能と呼びにくい理由
成功は17回だった
動かせる透明・不透明条件は、それぞれ21試行、合計42試行です。そのうち14匹が少なくとも1回成功し、成功した試行は17回でした。
内訳は透明14回、不透明3回です。透明カップの成功数が多いという検定結果はp=.007でした。
食べ物が見え続けるため、猫が装置へ触り続けやすかった可能性があります。実際、透明条件では装置を見る割合と触れる割合も高くなっています。
ただし、成功17回は猫17匹という意味ではありません。14匹による17試行です。条件別の成功回数を、成功した猫の人数へ読み替えないようにします。
最初に動かないカップを見るとどうなるか
12匹は動かせる日を先に、9匹は固定日を先に経験しました。動かせる日を先にした猫の成功は13回、固定日を先にした猫では4回でした。差の検定はp=.029です。
先に押しても動かないカップを経験すると、翌日に動くカップへも接触しにくくなるかもしれません。反対に、先に倒せる経験をすると、次の課題でも押し続けるかもしれません。
この研究は順序を調整していましたが、小標本のため順序の影響が残りました。透明14対不透明3を「透明性だけの効果」として単純化できません。
成功してもしなくても食べ物を得た
45秒以内に倒せなかった場合も、飼い主がカップを上げ、猫は食べ物を受け取りました。
猫に報酬を与えず終えることを避けられる一方、待てば食べ物を得られる経験になります。何度も練習するうちに、自分で倒すより飼い主を待つ方を選んだ可能性があります。
これは猫の怠けではありません。課題の中で最も効率のよい行動を学んだとも考えられます。
固定カップを倒した猫がいた
研究では磁石で固定した条件を「解決不能」と呼びました。ところが、4匹が45秒以内に透明カップを倒しました。網状カップを倒した猫もいました。
磁石の付け忘れではなく、猫が強く押したり引いたりしてカップを動かしたと原著にあります。1匹は頭で押しました。
条件名が「解けない」でも、装置が全ての参加者にとって本当に解けなかったかは別に確認する必要があります。
何を成功と呼んだか
成功は、45秒以内にカップを倒し、下の食べ物を得ることです。透明カップを見て理解したか、偶然強く押したか、過去の練習を使ったかは、この成功数だけでは区別できません。
また、透明カップを倒せなかった猫が透明を理解していないとも言えません。食べ物への動機、触り方、試行順、飼い主を待つ学習が混ざります。
今日からできること
- 成功率の記事では、成功試行数と成功個体数を分ける
- 条件の順番と、失敗時に報酬がどう渡されたかを確認する
まとめ会話
マロン学長「透明14回、不透明3回は本当。でも順序や待てばもらえる手続きもあるんだね。」
いち教授「そう。数字を弱めるのではなく、数字が生まれた条件を保つんだ。」
マロン学長「固定カップを倒した猫がいたなら、解けないという名前も点検が必要だね。」
次回予告
次回は成功から視線へ移ります。透明条件では装置、不透明条件では飼い主を見る割合が高かった結果を、援助要請と決めつけずに読みます。