人猫動線メモを作る
時刻・面・目的・重なった結果・戻り道を記録し、実際に困る一か所から見直します。

導入会話
マロン学長「研究の家具をそのまま買えないなら、何を持ち帰る?」
はち助教授「製品ではなく、重なりを見つける観察の枠組みを持ち帰るの。家具を変える前に、今の家で何が起きているかを見ましょう。」
この回でわかること
- 研究の枠組みを家庭の観察に使う方法
- 変えるなら一か所からにする理由
- 研究の寸法や案を基準にしないこと
研究の枠組みを借りる
この研究が実際にやったことの中で、家庭に持ち帰りやすいのは第1段階の観察の枠です。人の目的、猫の行動、使った面、起きた結果を分けて記録する。それだけで、「猫が邪魔をする」という一言が、いくつかの別々の場面に分かれます。
ソファ、机、通路を一つずつ見ます。時刻、人の目的、猫の行動、使った面、重なった結果、猫が離れたり戻ったりできる経路を同じメモにします。
「衝突」を四つの結果に分ける
研究が使った四つの結果、作業の中断、通行の妨げ、傷・汚れ、片づけの追加は、家庭の記録にもそのまま使えます。たとえば机の場合、猫がキーボードの上に座って作業が止まった(中断)、椅子の後ろを通れなくなった(通行)、机の脚に爪とぎの跡がついた(傷)、机の上の物を落として片づけた(片づけ)、という具合です。
分けてみると、四つすべてが起きている場所と、一つしか起きていない場所があるはずです。研究でも、ソファと机は複数の結果が繰り返し起きる場所だったからこそ設計の対象になりました。
マロン学長「うちの机は『中断』だけかもしれないし、ソファは『傷』が多いかもしれないんだね。」
はち助教授「そう。場所ごとに違うから、同じ対策をまとめて当てはめない方がいいの。」
変えるなら一か所から
変更するなら、一度に家具全体を入れ替えず、実際に中断や行き止まりが起きる一か所から。研究の概念案や寸法は、安全基準や正解のレイアウトではありません。
研究の飼い主評価で最上位だったのは「構造の安定性と安全」でした。家庭で家具や棚を猫の通り道にするなら、その家具が猫の体重や跳躍に耐えるか、転倒しないかを、製品の表示や設置方法で先に確認します。これは研究が測ったことではなく、研究の回答者が最も気にしていたことです。
猫が選べる経路を残す
研究の要求項目にあった「人と猫の移動経路の分離」は、猫を締め出すという意味ではありません。人の主な操作面と猫の通り道が重なりすぎていないか、猫が離れた後に戻る道があるか、途中で行き止まりになっていないかを見ることです。
猫を排除する線引きではなく、人と猫のどちらにも選べる経路を残せるか確認します。
この講座で決めないこと
- 特定の家具や製品のすすめ
- 一体型家具で爪とぎや作業の中断が減るという効果
- 家具の寸法、面積、レイアウトの基準
- 猫の福祉や安全が確かめられたという評価
これらは原著が概念設計の段階で止まっており、検証していない範囲です。
今日からできること
- 時刻・場所・人の目的・猫の行動・起きた結果を一行で記録する
- 机の操作面、椅子の出入り、猫の上り下りを別の線として見る
- 猫が離れた後に戻れるか、途中で行き止まりにならないか確認する
- 家具の強度や転倒対策は製品表示や専門家へ別に確認する
まとめ会話
マロン学長「家具の答えじゃなくて、家の中の重なりを見つける目を持ち帰るんだね。」
はち助教授「その通りよ。人と猫のどちらにも道が残っているか、それを確かめるところから始めましょう。」
講座のまとめ
本研究は、20世帯の観察と132人の要求評価をもとに、人猫共有家具の概念案を作った工業デザインの研究です。飼い主の生活場面と要求を設計へ変換しましたが、実物の試作、猫の利用、安全、耐久、省スペースの効果は検証していません。家具の性能試験としてではなく、人猫の共有面を観察する材料として使います。