14〜15週なら毛づくろいを防げる?
14〜15週群の比較と、ウールサッキング・過剰な毛づくろいを研究がどう測ったかを読みます。

導入会話
マロン学長「14週まで待てば毛づくろいの問題を防げる?」
はち助教授「介入の効果ではなく、飼い主回答の関連よ。それに、研究が『常同行動』と呼んだものの中身も見ておきたいの。」
この回でわかること
- 14〜15週群で見られた関連
- 研究が「常同行動」と呼んだもの
- 表と本文で値が違うこと
14〜15週群で見られたこと
14〜15週群は、早期離乳群より見知らぬ人への攻撃が少ない結果でした。また、性格因子をモデルから外した解析では、14〜15週群は12〜13週群より過剰な毛づくろいが少ない比較がありました。性格因子を入れると、この差は小さくなりました。
著者らは、離乳時期と常同行動の関係の一部は、攻撃との関係によって説明されると解釈しています。後期離乳の群で攻撃性が低く、攻撃性が低い猫では常同行動とされた行動も少なかった、というつながりです。
「常同行動」はこの研究の区分
研究で「常同行動」と呼ばれているのは、ウールサッキングと過剰な毛づくろいをまとめた表現です。常同行動とは、変化が少なく繰り返される行動で、不利な状況や欲求不満のある状況で現れることがあるとされます。論文はミンクの尾かじり、マウスの金網かじり、犬の尾追いを例に挙げています。
5,726匹のうち約32%は、生涯に一度以上ウールサッキングを経験したと回答されました。ただし解析で「あり」としたのは月1〜4回以上で、軽い例は外されています。ウールサッキングと過剰な毛づくろいは一部の猫で一緒に見られましたが、両者の相関は弱いものでした。
マロン学長「毛布を吸うのと、毛づくろいのしすぎは、同じ仲間として扱われたんだね。」
はち助教授「研究の中ではね。でも質問票だけで常同行動や皮膚の病気を診断したわけではないの。」
質問票だけで常同行動や皮膚疾患を診断していません。過剰な毛づくろいには、皮膚の病気、痛み、アレルギー、寄生虫など体の原因もあります。飼い主が5段階で答えた「なめる・噛む程度」の上位2段階を「あり」とした数字であり、獣医師が診た結果ではありません。
著者らは考察で、攻撃と常同行動に共通する神経系の仕組みや、初期の離乳が脳の働きを変えるという仮説を述べています。ただし、この研究は脳、ホルモン、神経伝達物質を測っていません。仮説は仮説として読み、この研究で確かめられたこととは分けます。同時に著者らは、ウールサッキングで布やプラスチックを飲み込む危険があることにも触れています。行動の解釈より先に、安全の問題として見ておく点です。
表と本文で値が違う
ただし表と本文でモデルと値が異なります。過剰な毛づくろいの比較は、本文ではχ²=7.14、p=.0075、表ではχ²=6.61、p=.010と書かれています。前回見た行動問題の比較も、本文と表で異なる値でした。原著はどちらが正しいかを説明しておらず、制作では推測で統一せず両方を残しています。
こうした不一致は研究全体を否定するものではありませんが、この部分の数値を強い根拠として引くことは避けます。
この研究が測っていない行動
ふみふみ、噛み癖、分離不安はこの研究の測定対象ではありません。早期離乳の話題では、ふみふみ(前足で交互に押す動作)や人への噛み癖、留守中の不安と結びつけられることがありますが、この質問票はそれらを尋ねていません。この研究を根拠に、それらの行動を早期離乳のせいだと説明することはできません。
今日からできること
- 毛づくろいは部位、皮膚、時間、前後を記録する
- 異物を飲み込む可能性は獣医師へ相談する
まとめ会話
マロン学長「14週で防げる、じゃなくて、その群で少なかったという関連なんだね。」
はち助教授「そう。最後に、週齢の研究を今いる一匹の観察にどうつなげるかをまとめるわよ。」
次回予告
週齢の研究を、現在の一匹の観察へ変えます。