8週未満群で何が違った?
8週未満と12〜13週の比較で、見知らぬ人への攻撃に見えた差と、見えなかった差を分けます。

導入会話
マロン学長「8週未満だと、どの相手にも攻撃が増えたの?」
はち助教授「直接差があった相手を省かないでね。全体の結果と、群どうしの比較は別々に読むの。」
この回でわかること
- 離乳時期の「全体効果」が見られた行動
- 8週未満群と12〜13週群の直接比較
- 一つの比較を広げない理由
全体として関連が見られた行動
まず、離乳時期の区分全体で差があったかを見る解析です。多くの行動を比べているので、偶然の差を抑える補正をかけたうえで、家族への攻撃、見知らぬ人への攻撃、他の猫への攻撃、ウールサッキングの四つで、離乳時期の全体的な関連が確認されました。
一方、見知らぬ人への怖がり、人との接触の低下、新しい物への怖がり、過剰な毛づくろい、飼い主が評価した行動問題は、補正後の基準には届きませんでした。著者らが要旨で「恐怖行動ではなく攻撃行動」と書いているのは、この対比です。
8週未満と12〜13週の直接比較
次に、あらかじめ決めた群どうしの比較です。8週未満群は12〜13週群より見知らぬ人への攻撃が多い結果でした。家族やほかの猫への攻撃、怖がりでは同じ比較に有意差がありませんでした。
「早期離乳の猫は攻撃的」という要約が広まりがちですが、8週未満群と12〜13週群の直接比較で差が出たのは、見知らぬ人への攻撃です。家族への攻撃や他の猫への攻撃は、区分全体では関連があっても、この二つの群の間では差が確かめられていません。
マロン学長「見知らぬ人に、というところが抜けると、話が大きくなっちゃうね。」
はち助教授「そうなの。相手を省くと、研究が言っていないことまで言ったことになるのよ。」
離乳時期は、見知らぬ人への怖がりや、人との接触の低下には関係しませんでした。早く離された猫が人を怖がる、人になじまない、という結果は出ていません。「攻撃はあっても怖がりではない」という組み合わせを、著者らは要旨で強調しています。
成猫まで一緒だった群は攻撃が少なかった
成猫になってから離れた、または離れていない猫は、他の群より家族、見知らぬ人、他の猫への攻撃が少ない結果でした。著者らは、母猫との接触が長く続いたことを一つの説明として考えています。
ただし、この群は一般的な譲渡時期の猫とは暮らしの条件そのものが違う可能性があり、母猫の養育を直接測った研究でもありません。成猫まで母猫と暮らせば同じ結果になる、と勧める根拠にはなりません。
「行動問題あり」の評価
8週未満群は12〜13週群より、飼い主が「行動問題あり」と評価する可能性が高い結果でした。本文では予測される確率が18%対7.9%とされています。ただし、この比較の統計値は本文と表で異なる値が書かれていて、原著の中で対応がはっきりしません。制作では両方を残し、どちらかを正しいと決めていません。
なお、これらの群どうしの比較は、全体効果の解析とは違って多重比較の補正をしていません。著者らが事前に決めた比較なので補正しない、という統計上の判断ですが、数が多いぶん偶然の差が混ざる余地はあります。
一つの比較を「あらゆる攻撃が増える」へ広げません。
今日からできること
- 比較した群・相手・測り方をセットで読む
- 過去の週齢だけで性格を決めない
まとめ会話
マロン学長「8週未満で確かに差があったのは、見知らぬ人への攻撃なんだね。」
はち助教授「ええ。次は後期離乳の群と、『常同行動』という言葉の中身を見ましょう。」
次回予告
14〜15週群と「常同行動」の定義を読みます。