外へ出す効果?7クラスターの診断?
屋外アクセス別の群差を介入効果へ、探索的7因子を診断へ変えない読み方を学びます。

導入会話
マロン学長「室内群で多い行動は、外へ出せば減る?」
いち教授「群差は介入効果ではなく、見える場所も違うよ。行動ごとに方向もばらばらなんだ。」
この回でわかること
- 屋外アクセス別に差が出た6行動
- 差を外出の効果にできない理由
- 7因子という「まとまり」の扱い
屋外アクセス別に差が出た6行動
屋外アクセス別の差は行動ごとに方向が異なりました。室内でのスプレーは無制限26%、制限あり16%、なし2%で、外に出られる猫ほど多く報告されました。反対に、便のトイレ外排泄はなし24%、無制限11%、制限あり13%で、観葉植物を食べる行動はなし58%、制限あり43%、無制限23%、異食はなし28%、制限あり19%、無制限8%と、外に出ない猫で多く報告されました。
恐れについては、花火への恐れは室内猫で最も少なく(35%対53%・47%)、子どもへの恐れは無制限の猫で最も多く(26%対14%・13%)報告されました。
アクセスなしで多い報告も、無制限群で多い報告もあります。「外に出ると問題が減る」とも「増える」とも、一方向には読めません。
差を外出の効果にできない理由
屋外アクセスは無作為に割り当てられたものではありません。外に出せる家は、住まいの形、庭の有無、純血種かどうか、子どもがいるかどうかなども違います。実際、子どもがいる家庭ほど屋外アクセスがあったため、子どもへの恐れが無制限群で多かったのは、屋外アクセスのせいとは限りません。
見える場所の差もあります。外で排泄や植物を食べていれば、飼い主は気づきません。室内猫で植物を食べる報告が多いのは、室内でしか食べられないからかもしれず、刺激不足のせいと決めることはできません。
スプレーが外に出られる猫で多く、室内猫で少なかったことについて、著者らは、集合住宅の上階など外に出にくい環境では外の猫が見えにくく、室内でマーキングする必要が低いのかもしれない、と考察しています。ただし住居の階、外猫の目撃、窓からの刺激は測っていません。
マロン学長「室内で植物を食べるのは、退屈だからじゃないかもしれないんだね。」
いち教授「可能性の一つではある。でも、外で食べているのが見えていないだけ、という可能性も残るんだ。」
31行動を7つのまとまりに
31行動は探索的に7因子へまとめられましたが、説明分散は42.5%で、低い負荷や重複もあります。著者らは統計的な結果と文献、自分たちの臨床経験を組み合わせて7つに絞り、「縄張り・飼い主回避」「過剰毛づくろい・大きな音への恐れ」「食物・刺激不足に関連」「人への攻撃」「社会化不足に関連」「排泄」「ストレス関連」と名づけました。
名前は著者らが解釈のためにつけたもので、同じ動機が確かめられたわけではありません。負荷量の約半数は0.30〜0.40と低く、複数のまとまりにまたがる行動もあります。抄録では6つ、結果の節では7つと数が一致していないことも、原著内の不一致として記録されています。
まとまりは質問の順番に使う
著者らがこの結果をどう使いたいかは、はっきりしています。獣医師や行動の専門家が相談を受けた時、報告された行動と一緒に、他の行動、頭数、屋外アクセスを詳しく聞く手がかりにすること。たとえば尿のトイレ外排泄の相談があれば、便の排泄やスプレー、トイレの数や配置、同居猫との関係も聞いてみる。まとまりは「次に何を聞くか」の順番として役に立ちます。
群名を外出の効果へ、因子名を診断へ変換しません。
今日からできること
- 屋内で見える機会の差を考える
- 因子を診断名として使わない
- 一つの行動から周辺の変化を確認する
まとめ会話
マロン学長「外に出すかどうかで決まる話じゃなくて、見える場所や住まいの違いも混ざっているんだね。」
いち教授「そうだよ。最後に、この研究を『急に仲が悪くなった』という場面でどう使うかをまとめよう。」
次回予告
「急に仲が悪い」を具体的な観察へ分けます。