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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座050第4回 / 全5回

鳴く・近づく・抵抗する——別の場面はつながる?

保護猫の発声、人への接近、抱き上げへの抵抗、マウスへの関心に見られた相関を解説。34件中8件という結果と、感情や過去の生活歴、性格を相関だけで断定できない理由を整理します。

いち教授
いち教授
講座050

導入会話

マロン学長「人へ近づく猫は、抱き上げてもおとなしい猫なのかな?」

いち教授「直感とは違う関連もあったよ。人へ近づきやすい猫ほど、抱き上げには早く抵抗する傾向が出たんだ。」

マロン学長「人好きなら何でも受け入れる、ではないんだね。」

いち教授「一つの性格ラベルへまとめず、測った行動同士の相関として読もう。」

この回でわかること

  • 34のテスト間相関のうち、結果本文では8件が補正後も有意だった
  • 人へ近づくことと、抱き上げへの抵抗は反対の特徴ではなかった
  • 発声やマウスへの反応から、感情・過去・将来は断定できない

34件を調べ、結果本文では8件

研究者は、分離・閉じ込め、マウス、受動的対人接近の複数の行動を、それぞれ似た動きをするまとまりへ整理しました。そこへ抵抗するまでの時間、なでられるまでの時間を加え、異なるテストの行動同士に関連があるかを調べました。

比較が増えると、偶然に関連が出る機会も増えます。そこで多重比較の補正を行い、結果本文では34の相関中8件が補正後も有意だったと報告しました。多くの組み合わせのうち、一部に場面をまたぐ関連が残ったという結果です。

ただし考察の冒頭は「7件」と記載しており、結果本文と一致しません。制作では検定数と補正を説明する結果本文の8件を優先し、7件との不一致も残しています。

人へ近づく猫は、早く抵抗した

受動的対人接近テストで見知らぬ人へ近づきやすい猫ほど、抵抗テストでは抱き上げられた後に早く抵抗する関連がありました。著者らは、人のそばで自信がある猫だった可能性を挙げています。

この結果は、人へ近づく猫が抱っこ好きという意味ではありません。人への接近と、体を保定されることへの反応は別です。自分から近づくことと、触れられ続けることは同じ選択ではありません。

早く抵抗した猫ほど、分離・閉じ込めテストで多く鳴く傾向もありました。著者らは人との接触を求めていた可能性を考えましたが、ニャーの音響を詳しく分析していません。鳴き声がストレス、注意要求、挨拶のどれだったかは分けられません。

マロン学長「近づく、触れられる、鳴くを、全部『人が好き』にしないんだね。」

いち教授「そうだよ。観察した行動の言葉を保つと、猫の選択を細かく見られるんだ。」

マウスへの関心と人への反応

マウス入り瓶との相互作用は、受動的対人接近時の発声と負の相関があり、能動的接近でなでられるまでの時間とは正の相関がありました。マウスと長く関わった猫ほど、人の前で発声が少なく、なでられるまで時間がかかった関係です。

論文は、獲物への志向が強い個体ほど人への志向が弱い行動シンドロームの可能性を論じています。さらに、施設へ来る前に人から食物を得ていたか、狩りに頼っていたかという経験の違いを推測しています。

しかし猫の過去の生活歴はほとんど分かっていません。相関から過去の原因を確認したわけでもありません。「狩り好きな猫は人嫌い」という家庭向けの法則にはできません。生きたマウスへの反応を、猫用おもちゃへの反応と同じに扱うこともできません。

行動シンドロームは診断名ではない

複数の場面で行動が関連しても、目の前の猫へ性格の名前を付ける診断ではありません。31匹の集団で得た相関であり、1匹ごとの将来を保証するものではないからです。

さらに、関連の背景には覚醒度、人との経験、施設環境、測っていない体調などがありえます。研究が示したのは、複数の場面を別々に見るだけでなく、関連を検討する価値があることまでです。原因と用途は次の研究で確かめる必要があります。

今日からできること

  • 近づく・触れられる・鳴くを、一つの「人好き」ラベルにまとめない
  • 相関を見たら、測っていない原因や生活歴を推測で埋めない

まとめ会話

マロン学長「場面をまたぐ関連はあったけど、性格診断や過去の答えではないんだね。」

いち教授「うん。相関は次に調べる問いを作るけれど、原因までは決めないよ。」

マロン学長「家庭では、どう観察すれば決めつけを減らせるかな?」

いち教授「最後に、研究を再現せず、自然な場面を複数回見る方法をまとめよう。」

次回予告

1施設31匹、譲渡後は未追跡。研究の限界を残しながら、家庭へ持ち帰れる観察を整理します。

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