猫との接し方は6か月後も変わっていた?
猫保護団体の47人へ行った2時間研修を、2週間後と6か月後の動画評価から読みます。

導入会話
マロン学長「猫への触り方って、一度くせになったら変えにくいのかな?」
いち教授「英国の保護団体で、研修後の接し方を6か月まで追った研究があるよ。ただし、最後まで参加した人数から丁寧に読もう。」
この回でわかること
- 研修前後で人の接し方がどう変わったか
- 2%・25%・37%という数字の意味
- 「6か月もつ」と言い切れない理由
施設ごと、人ごとに違う接し方
論文の背景には、英国では毎年およそ15万匹の猫が救護施設へ入り、猫の管理のしかたが施設ごと、人ごとに異なると報告されていることが書かれています。猫にとって人との接触が良い経験になるかどうかは、猫が参加するか離れるかを選べること、個々の好みが尊重されること、人が猫の反応に合わせて行動を変えることに左右される、というのが著者らの前提です。
研究チームは先行研究で、Choice(選択)・Attention(注意)・Touch(接触)の頭文字をとったCAT指針をまとめていました。一般の参加者に短い説明をすると、直後の接し方と猫の反応に変化が見られたという結果はありましたが、施設の職員やボランティアに研修をした時にその変化が続くかは分かっていませんでした。
猫ではなく、人の行動を追った
Hatamら(2026)は、英国の猫保護団体Cats Protectionで働く職員とボランティア47人へ、2時間のオンライン研修を行いました。研修内容は、猫へ選択を残し、反応を見て、触れ方を調整するCAT指針です。
参加者は研修前と約2週間後に、猫と自然に接する90秒動画を提出しました。約6か月後にも同じ調査が行われ、19人が参加しました。
研究者が評価したのは、人の行動がCAT指針へどれだけ沿っていたかです。猫が快適になったか、ストレスが下がったか、攻撃行動が減ったかをこの研究が直接測ったわけではありません。
「よく沿う」予測確率が上がった
動画は「沿わない」「ある程度沿う」「よく沿う」の3段階で評価されました。モデルによる「よく沿う」予測確率は、研修前2%、2週間後25%、6か月後37%でした。
反対に「沿わない」は、87%から26%、17%へ下がりました。主な変化は研修直後に起こり、6か月後に明確な低下は検出されませんでした。
この数字は、各時点でその評価になった人を単純に数えた割合ではありません。参加者ごとの繰り返しを考慮した統計モデルから求めた予測値です。
6か月後は47人中19人
6か月後まで参加したのは19人で、最初の47人の約4割です。継続した人と途中で終えた人の間で、研修前の年齢構成や質問票得点に差は検出されませんでした。
それでも、参加しなくなった28人のその後は分かりません。6か月後の「よく沿う」は37%±27%で、不確実性の幅も大きくなっています。
この研究から言えるのは、6か月後まで参加した小さな集団でも、研修前との差が残っていたところまでです。47人全員に効果が続いたとは言えません。
今日からできること
- 自分が触り始める前に、猫が近づいたかを一度思い出す
- 触れた後、猫の次の動きを見るために手を止める
- 家族で「離れたら追わない」だけを一つ共有する
まとめ会話
マロン学長「6か月後にも変化は見えたけれど、19人の結果なんだね。」
いち教授「うん。続いた可能性は大切だけど、全員へ広げず、何を測ったかも分けて読もう。」
次回予告
2時間研修、90秒動画、3段階評価という研究の方法を詳しく見ます。
参考文献
Hatam EV, et al. (2026). Frontiers in Veterinary Science, 13, 1880180. https://doi.org/10.3389/fvets.2026.1880180