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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座211第2回 / 全5回

1,714匹をどう比べた?

募集、除外、飼い主報告による16指標、Bonferroni補正という研究設計を読みます。

いち教授
いち教授
講座211

導入会話

マロン学長「1,714匹なら、かなり確かな答えが出そうだね。」

いち教授「数と一緒に、誰をどう集め、何を測ったかを読もう。この研究は集め方に工夫があるんだ。」

この回でわかること

  • 人口構成に近づけた集め方
  • 16の福祉指標の中身
  • 未補正と補正後という二つの基準

25,365人から1,714匹へ

データは2024年10月、デンマークの調査会社が持つ市民パネルから集められました。18〜79歳のパネル登録者から、性別、年齢層、地域がデンマークの人口に近づくように無作為に選んだ25,365人へ案内し、7,408人(29%)が回答を完了しました。

このうち猫と暮らしていたのは1,507人。家にほとんど入らない農場猫などを飼う105人を除き、1,402人が残りました。単頭が944人、2匹以上が458人です。3匹以上の家では、名前がアルファベット順で先に来る2匹について答えてもらい、1世帯あたり最大2匹に絞りました。100問を超える質問への負担を抑えるためです。欠測を除いた最終の分析対象は1,714匹でした。

登録済み市民パネルを人口構成へ近づけた標本で、全国民からの確率抽出ではありません。それでも、先行研究が使ってきた「猫好きが集まる場で募った標本」よりは偏りが少ない設計です。

福祉は16の指標で測った

福祉は飼い主報告の4健康問題と11行動、健康問題の合成を加えた16指標で測りました。健康問題は、膀胱炎、毛玉以外の嘔吐、下痢、便秘の四つで、いずれもストレスとの関連が報告されてきたものです。11の行動は、トイレ以外での排泄、尿スプレー、望ましくない場所での爪とぎ、注意要求、家族への恐れ、知人・見知らぬ人・他のペットへの攻撃、過剰な毛づくろい、過食、異食です。

頻度は「ない」から「毎日」までの7段階で聞き、分析では「半年に1回以上」と「年1回以下」に分けました。診療記録や幸福全体の点数ではありません。

マロン学長「膀胱炎も、飼い主が『半年に1回以上あった』と答えたかどうかなんだね。」

いち教授「そうだよ。獣医師の診断数ではないところを覚えておこう。」

性格は7項目から2つの軸に

飼い主には、猫の性格を7段階で評価する項目も答えてもらいました。項目は猫の飼い主20人への面接から作られ、「好奇心がある/無関心」「落ち着いている/神経質」「遊び好き/不活発」「愛情深い/控えめ」「撫でを受け入れる/猫が決める」「来客を歓迎する/怖がる」などです。統計的に整理すると、「控えめ・怖がり」と「無関心・不活発」という二つの軸にまとまりました。

資源については、トイレ、給餌場所、爪とぎの数を聞き、猫の頭数より少ないか、同じか、多いかにまとめました。多頭飼いで言われる「猫1匹につき一つ、さらに一つ」という経験則を踏まえた区分です。「猫が好む休息場所の数」も尋ねましたが、質問が広すぎて解釈できないため分析から外されました。

研究はコペンハーゲン大学の倫理委員会の承認を受け、回答者は研究利用に同意しています。資金は動物保険会社系の研究財団などから出ており、資金提供者は設計と解釈に関わっていません。第一著者は猫の行動コンサルタントとして行動クリニックを運営していることを利益相反として開示しています。

二つの基準で報告した

多くの項目を比べると、偶然の差も増えます。研究はすべての検定を、通常の5%水準と、比較回数を考慮したBonferroni補正後の5%水準の両方で報告しました。補正後に残った結果を最も信頼できるものとし、未補正のみで有意な結果は「今後調べる候補」として扱っています。この講座も同じ区別で読みます。

対象数だけでなく、募集元、回答率、測定方法、除外を一緒に確認します。

今日からできること

  • 調査の募集元と回答率を見る
  • 飼い主報告か直接観察かを確認する
  • 未補正と多重比較補正後を分ける

まとめ会話

マロン学長「集め方はていねいだけど、測ったのは飼い主の答えなんだね。」

いち教授「そこを押さえたら、次は一番目立つ数字、OR 6.42を読もう。」

次回予告

3匹以上群で示されたOR 6.42を読みます。

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