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ネコフリークス大学Neko Freaks University
遊び掲載 2026.09.17

論文要約:見えなくなったおもちゃを、猫はどう追う?

Forman et al. (2025). PLOS ONE, 20(7), e0312225

読了 約6分中級2025年発表原文 DOI →

論文の概要

目の前から消えた物も、どこかに存在し続ける。この扱い方を「物体の永続性」と呼びます。獲物が物陰へ入る場面を考えると、猫にとって関係の深い認知のように見えます。ただ、猫の頭の中を直接見ることはできません。研究では、隠れた物を探す、見る時間が変わる、箱へ近づくといった行動から慎重に推測します。

Formanら(2025)は、英国ブライトンの家庭で暮らす18匹に、2つの箱と猫が選んだおもちゃを使う6試行を行いました。目の前でおもちゃを片方の箱へ隠す「単一の見える移動」と、視界を遮った後におもちゃが同じ箱または予想外の箱から現れる「期待違反」の課題です。飼い主と、猫にとって知らない研究者が交代で箱を操作しました。

見える移動課題では、18匹中10匹がおもちゃを見つけませんでした。期待違反課題では、予想外の箱から現れる条件より、隠したのと同じ箱から現れる条件で反応が多く、事前の予測と逆になりました。

ネコフリークスでは、この論文を猫の知能判定には使いません。行動が出なかったとき、理解だけでなく、報酬への関心、人への反応、装置の見え方、家庭内で条件をそろえる難しさを考える資料として読みます。

研究デザイン

最初に募集されたのは18家庭25匹でした。実験場所を離れた、当日いなかった、おもちゃへの動機が保てなかった、研究者を怖がったといった理由で7匹が外れ、14家庭18匹が最終解析に残りました。

  • 対象: メス10匹、オス8匹。雑種13匹、純血種5匹。年齢0.5〜11歳
  • 装置: 16cm角の段ボール箱2つを約2cm離して設置。箱の内側には音を減らす素材を貼った
  • 報酬: 新品のおもちゃから、猫が最も関心を示した物を選択
  • 試行数: 1匹6試行、全体108試行
  • 人の条件: 飼い主と研究者が各種類の課題を1回ずつ担当
  • 記録: 箱へ近づく・触る、おもちゃへ触る、視線の長さ、動き始めるまでの時間などを動画から符号化

3種類の試行

  1. 単一の見える移動(SVD): 猫に見せながらおもちゃを片方の箱へ入れ、60秒間に探すかを見る。
  2. 一致条件: A4フォルダーで視界を遮り、箱を入れ替えたふりをする。おもちゃは隠したのと同じ箱から出し、その後30秒間を見る。
  3. 期待違反条件: 視界を遮った間に箱を実際に入れ替える。猫から見ると、おもちゃが予想外の箱から現れる。その後30秒間を見る。

期待違反課題では、猫に正解の箱を選ばせません。起きるはずのない場所からおもちゃが現れたとき、見る・近づく・触るといった反応が増えるかを測りました。

主な発見

1. 見える移動でも、10匹が見つけなかった

SVDは18匹が2回ずつ、合計36試行でした。おもちゃを見つけたのは16試行です。猫単位では10匹(56%)がおもちゃを見つけず、その10匹のうち8匹(80%)は、箱へ向かう探索自体を試みませんでした。

この内訳は重要です。間違った箱を選んだ猫が多かったのではなく、探し始めない猫が多く含まれます。おもちゃへの関心が、箱を回って探すほど続かなかった可能性を研究者は挙げています。

2. 一致条件の方で反応が多かった

期待違反条件では、予想外の出来事を長く見たり、よく確かめたりすると予測されていました。実際には逆で、おもちゃへ触れやすく、おもちゃが出た箱へ近づく・触る行動が多かったのは一致条件でした。

猫が2条件へ同じ反応をしたわけではありません。ただ、違いの方向は、人の乳幼児や犬の研究を参考にした予測と反対でした。論文は、動機づけによる説明と認知による説明を分ける追加研究が必要だとしています。

3. 飼い主と研究者の差は1方向ではなかった

研究者が箱を操作した試行では、飼い主の試行よりおもちゃへ触れる確率が高くなりました。その一方、おもちゃが出た箱や空の箱へ向かう行動は、研究者の試行で少なくなりました。

測った行動によって方向が違うため、「知らない人の方が参加しやすい」「飼い主の方が安心して動ける」と1つの説明へまとめられません。研究者は1人で、個々の猫の反応差も残ります。

この研究で断定できないこと

  • 猫に物体の永続性がないとは言えません。 過去の研究では、猫が見える移動を続けて追えることが報告されています。今回の低い探索率は、動機づけの影響を受けた可能性があります。
  • 猫が予想外の出来事に気づかなかったとは決められません。 2条件への反応は異なりましたが、なぜ予測と逆になったかは分かっていません。
  • 2つの箱を別々の場所として見たとは限りません。 箱の間隔は約2cmで、1つの装置の左右に見えた可能性があります。
  • 家庭内実験の条件は完全には同じではありません。 猫の開始距離、部屋、操作者の視線や表情などを完全にはそろえられていません。
  • 18匹から暮らし方や品種の特徴へ広げられません。 純血種はラグドール3匹とバーマン2匹だけで、多数の探索的比較も行われています。
  • 参加できなかった猫を代表しません。 募集25匹のうち7匹は、恐怖や動機づけなどの理由で解析から外れました。

数字で見るポイント

  • 18匹・14家庭: 最終解析の対象。募集時は25匹
  • 6試行/匹、108試行: 見える移動2試行、一致2試行、期待違反2試行
  • 10匹(56%): SVD課題でおもちゃを見つけなかった猫
  • 8匹: 見つけなかった10匹のうち、箱へ向かう探索を試みなかった猫
  • 16試行: SVD全36試行のうち、おもちゃを見つけた試行
  • 約2cm: 2つの箱の間隔。別の隠し場所として見えたかという限界につながる

暮らしへのヒント

猫が隠れたおもちゃをすぐ探さなくても、その1回だけで「覚えていない」「興味がない」と決める必要はありません。猫が見ていたか、まだ遊びを続けたい状態だったか、人や音を気にしていなかったかなど、行動が出る前提はいくつもあります。

家庭では能力テストにせず、猫が追いたいときだけ安全な大きさの猫用おもちゃで遊びます。研究に登場した小物やヘアゴムは、誤食を防ぐ監督下で使われた物です。再現用には使わず、猫が離れる、休む、別の行動を始めるなら、そこで終えます。

よくある質問

Q. この研究はどこで発表されましたか?

2025年に国際誌 PLOS ONE で発表されました。Jemma Forman、Jordan S. Rowe、David A. Leavensによる論文で、DOIは10.1371/journal.pone.0312225です。

Q. この研究の内容は日常の猫との暮らしに活かせますか?

猫がすぐ反応しないときに、分からない・興味がない・警戒していると即断しない視点へつながります。ただし、遊び方や訓練法の効果を調べた研究ではありません。

Q. この研究は、猫に物体の永続性がないと示したのですか?

いいえ。過去の研究では、猫が見える移動を続けて追えることが報告されています。今回の結果は動機づけや装置の影響を受けた可能性があり、第6段階の理解の有無も判定できていません。

Q. 飼い主と知らない研究者では、猫の反応が違いましたか?

違いはありましたが方向は一様ではありません。研究者の試行でおもちゃに触れやすい一方、箱へ向かう行動は少ない結果も出ました。親しさだけで説明せず、測った行動ごとに分けて読む必要があります。

この論文のテーマを深く学ぶ

見えなくなったおもちゃ、猫は覚えている?——18匹の認知実験

家庭で暮らす18匹に2つの箱とおもちゃを使った6試行を行い、見えなくなった物をどう追うか調べた研究を読む全5回講座です。行動が出なかったことを能力不足と決めず、予想と逆だった結果と実験の限界を整理します。

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本サイトの記事は、学術論文をAI技術を用いて要約・翻訳したものであり、獣医師による診断・治療に代わるものではありません。愛猫の健康状態に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。