猫にクリッカートレーニングはできる?保護猫100匹が学んだこと
猫はクリッカーで合図を覚える?保護施設の猫100匹による二週間の研究から、できた行動とクリック音だけの効果が未確認な理由を解説します。


目次
結論:猫も合図を学べます。ただし「クリック音だけの効果」は別です
「猫はしつけができないから、クリッカーを鳴らしても無理?」。保護施設の猫100匹を調べた研究では、二週間の短い練習後、鼻で目標に触れる、回転する、座る、前足で人の手に触れるという四つの合図行動の得点が上がりました。猫が合図を学べないという決めつけには合わない結果です。
一方、全頭がクリック音・報酬・人との交流を受け、音のない比較群はありません。得点の変化を「クリック音そのものが効いた」「クリッカーを買えば家庭の困り行動が直る」とは言えません。
どんな練習をした?
Koganら(2017)は、健康で譲渡可能な生後6か月以上の保護猫を、同じ建物内の訓練施設で調べました。プログラムを完了したのは100匹。別に19匹は譲渡、病気、回数不足などで除かれました。完了した猫は、一回5分の練習を二週間で計15回受けました。
望む動きが起きたらクリック音を鳴らし、その後で通常は食べ物を与えます。少数の猫には、好む場合に撫でられることが報酬になりました。練習とは別に、猫が望むなら毎日少なくとも10分の人との交流や、ケージ外で過ごす機会もありました。音だけを切り離した実験ではありません。
「鼻タッチ79%」は新しく覚えた割合ではない
研究で最高点の3点を取った割合は、練習後に鼻タッチ79%、回転60%、座る27%、ハイタッチ31%でした。3点は合図から2秒以内に完成した場合です。鼻タッチは練習前から48/100匹が3点でした。終了時に79匹ができたことと、79匹が新しく学んだことは違います。
さらに、練習前に怖がったり位置が合わなかったりして、回転は89匹、座るは73匹、ハイタッチは86匹しか評価できていません。最後はすべて100匹です。割合を比べるときは分母の違いも見る必要があります。
おやつに興味がない猫や、怖がりな猫は?
最初の食べ物への関心が高い猫では、鼻タッチとハイタッチの改善幅が大きい関連がありました。ただし、関心が低かった59匹のうち43匹も、最後に鼻タッチの最高点でした。最初に食べ物を選ばなかったことだけで「学べない」とは決められません。
ケージから出られるかどうかで分けた最初の分類も、四行動の改善幅と有意な関連はありませんでした。怖がる猫を練習のために無理に外へ出す根拠にはなりません。研究者も怖がる猫はケージ内で評価しました。体調や落ち着き、何に関心を示すかはその時々で変わります。
家庭で考えるなら、何から?
この論文が直接示したのは、保護施設に似た環境で完了した猫の四行動です。ストレス軽減、譲渡率、家庭の噛み癖や爪とぎが改善したかは測っていません。クリッカー製品の比較や家庭で必ず成功する手順でもありません。
「猫は覚えない」「音さえ鳴らせば直る」のどちらにも飛ばず、猫が自分から参加できるか、何に関心を示すかを観察するところから考えましょう。嫌がる日は続けず、急な食欲や行動の変化があるなら、しつけの問題と決めつけず獣医師に相談してください。
よくあるご質問
Q. クリック音がないと猫は覚えられませんか?
この研究では分かりません。音なしの比較群がなく、音が必須かどうかを調べていません。
Q. 79%の猫が新しく鼻タッチを覚えましたか?
いいえ。79%は終了時の最高点割合です。開始時に48%がすでに最高点でした。
Q. 怖がりな猫は対象から外した方がよいですか?
最初にケージを出られたかは改善幅と有意に関連せず、この研究は一律に外す根拠になりません。ただし、怖がる猫を無理に訓練へ参加させる意味でもありません。
Q. クリッカーで噛み癖やトイレの問題は直りますか?
この研究は四つの合図行動を測りました。噛み癖やトイレの問題への効果は検証していません。