途中で参加しなくなった21匹——標本の選ばれ方を読む
A-not-B課題の候補68匹から、年齢2匹、予備テスト7匹、途中で協力しなくなった21匹を除き、最終38匹となりました。条件ごとの25・25・25・20匹、全4条件完遂7匹、475試行の評価を詳しく読みます。

導入会話
マロン学長「38匹の実験なら、38匹全員が四つの条件を試したの?」
いち教授「そこが大事。各条件の人数は25、25、25、20で、四条件全てを終えたのは7匹だけだよ。」
マロン学長「候補は68匹だったというのも気になるな。」
この回でわかること
- 候補68匹が最終38匹になった流れ
- 条件ごとの人数と参加順の偏り
- 475試行の判定とにおい対照
協力できる猫を事前に選んだ
対象候補は飼い主と暮らす6か月〜10歳の猫で、名前を呼ぶと来る、見知らぬ人へ友好的、食べ物またはおもちゃへの動機が強いことが条件でした。
予備テストは三段階です。見知らぬ女性実験者が名前を呼んだ時に自分から近づく、実験者に触らせる、二つの金属カップから食べる。二段階以上を通過した猫が本試験へ進み、最終参加猫は全て食べる段階を通過しました。
マロン学長「人見知りの猫や、食べ物に乗らない猫は、最初から入りにくいんだね。」
いち教授「そう。一般の家庭猫を無作為に集めた標本ではないよ。」
68匹のうち21匹が途中で離れた
実験者は候補68匹を訪問しました。10歳超で2匹、予備テスト不通過で7匹、本試験の途中から協力しなくなった21匹を除き、38匹が残りました。
途中で協力しないとは、課題へ関心を示さない、扱われると攻撃的になるなどを含みます。猫が20秒以内に選ばない場合は最大3回繰り返し、それでも選ばなければ別日に延期しました。3回の訪問でも完了できなければ除外しました。
完遂した猫だけを見る結果には、課題へ参加し続けられる猫の特徴が反映されます。21匹の反応を「できなかった」と評価するのではなく、選択標本になったことを限界として残します。
論文を深く読む
見知らぬ実験者の明示、実験者の非明示、飼い主の明示は各25匹。飼い主の非明示は20匹でした。最初の25匹では、実験者明示と非明示の順を入れ替えましたが、飼い主明示は必ず3番目でした。条件間は1週間〜1か月です。
飼い主非明示は最初の三条件が終わった後に追加されました。元の25匹から7匹、新たな13匹が参加しました。したがって全38匹の完全な被験体内比較でも、四つの独立群を無作為に比べた研究でもありません。
四条件の試行を合計すると475試行です。主評価者は実験者本人で、135試行を独立評価者が再判定し、Cohenのκは.941でした。選択は遮蔽物の後ろを見て、カップの10cm以内へ近づいた時と定義しました。
におい対照は完遂10匹
食べ物のにおいで当てた可能性を調べるため、14匹で追加の合図なしに10回隠しました。有効な選択を10回完了したのは10匹です。集団正答は偶然水準で、においだけが主課題の結果を説明した可能性は低いとされました。
ただし、においを全く使わなかった証明ではありません。特定の対照条件で集団成績が偶然水準だったという範囲です。
今日からできること
- 動物実験の最終数だけでなく、候補数と除外理由を見る
- 反復実験では、全個体が全条件へ参加したか確認する
まとめ会話
マロン学長「38匹でも、四条件を全部終えたのは7匹。参加し続けられた猫の結果なんだね。」
いち教授「うん。人数、順番、途中離脱まで見て、結果の届く範囲を決めよう。」
マロン学長「次はB3で何が起きたかだね。」
次回予告
A-A-B-B-Aの各試行を追い、場所が初めて切り替わるB3で何が違ったのかを読みます。