702人が527人になった理由——母数と媒介分析を確認する
オランダの猫飼い195人と犬飼い332人を解析した横断質問票について、702人から527人になった欠測処理、募集の偏り、二つの擬人化尺度、5,000回ブートストラップによる媒介分析を詳しく読みます。

導入会話
マロン学長「猫飼い195人の研究なら、猫だけに質問した結果として読めばいい?」
いち教授「研究全体は犬猫混合の527人だよ。猫だけの係数もあるけれど、標本がどうできたかを先に見よう。」
マロン学長「人数が702、640、527と三つ出てくるのも気になるな。」
この回でわかること
- 702人、640人、527人の違い
- 猫飼いと犬飼いを単純な種差にできない理由
- 横断データの媒介分析で言える範囲
別の時期・経路で募集した
犬飼いは2020年1〜4月に主にFacebook、猫飼いは6〜7月にSNS、猫関連ニュースレター、Purrdoctor Cat Cohortのメールで募集されました。オンライン質問票へ自分から参加した人です。
最終解析527人の平均年齢は47歳、女性88%、高教育57%、動物関連職26%でした。低教育の人は少なく、動物との関係へ関心が高い人が参加しやすい可能性もあります。
猫飼いと犬飼いでは、性別、教育、動物の年齢、血統、飼育期間にも差がありました。平均得点が違っても、猫と犬という種だけが原因とは限りません。
702人から527人へ
電子質問票へ入ったのは702人です。主要な心理・行動6変数が完全だったのは640人で、猫262人、犬378人でした。年齢と教育が複数の変数に関連したため、著者らは両方を共変量に入れました。その情報まで完全な最終標本が527人、猫195人、犬332人です。
マロン学長「猫262人のうち67人が、最終解析には入らなかったんだ。」
いち教授「そう。欠測がある人とない人の違いを詳しく検証した報告はないから、527人を最初から集めた無作為標本のようには扱えないよ。」
論文を深く読む
研究は、一般の動物を尋ねるIDAQ、自分の猫や犬を人間と比べる新尺度COANT、社会的役割PRP、三つの結果を測りました。記述統計と相関の後、年齢と教育を調整した重回帰、PROCESS model 4の媒介、model 7の調整付き媒介を行い、5,000回のブートストラップで間接係数の区間を求めました。
媒介分析は、XとYの関連をMを通る部分へ分ける計算です。今回はCOANT→PRP→行動という理論順序です。しかし全変数を同じ質問票で同時に測っています。Xが先、Mが後、Yが最後という時間順序は確認していません。逆方向や、第三の要因による関連を除けません。
COANTを含む多くの尺度は本研究のために構成されました。別の国や標本で同じ構造が再現するかは今後の課題です。
原著内の小さな不一致
コミュニケーション行動について、原著は「5項目の尺度」と説明します。しかし直後に列挙されるのは、撫でる、抱く、キスする、話しかけるのa〜d、4行動だけです。未記載の5項目目が何かは本文から確定できません。
この制作では「4項目尺度」と断定せず、「原著は5項目とするが、本文に列挙された具体例は4行動」と残します。研究全体が無効になる不一致ではありませんが、測定内容を再現する時には重要です。
今日からできること
- 研究の人数は、参加・主要変数完全・最終解析を分けて読む
- 媒介図の矢印を見たら、測定時点が一度か複数か確認する
まとめ会話
マロン学長「527人という数だけでなく、募集経路、欠測、猫195人という内訳を見る必要があるんだね。」
いち教授「うん。媒介分析は関連を整理するけれど、一時点なら原因の順番までは決められないよ。」
マロン学長「次は、二つの擬人化尺度の違いを知りたいな。」
次回予告
昆虫や魚も尋ねるIDAQと、自分の猫の能力を人間と比べるCOANT。同じ「擬人化」とまとめず、何を測ったかを分けます。