遊びのスタートも、終わりも猫から?
飼い主の回答では、取ってくる遊びの開始も終了も猫のほうが多く報告されました。数字を心の中の断定にせず、猫の選択を尊重する見方を考えます。

導入会話
マロン学長「おもちゃを持ってきたら、『遊ぼう!』って言ってるのかな?」
いち教授「そう見える場面はあるね。ただし、研究だけで猫の気持ちを決めることはできないんだ。」
この回でわかること
- 飼い主の回答では、猫が始める・終える遊びが多く報告された
- 数字は猫の内面を確定するものではない
- 近づく・離れる行動を、遊びの選択として丁寧に見る
始めるのは猫、と答えた人が多かった
飼い主の回答では、遊びを始めるのは猫が47.9%、飼い主が21.6%、どちらも同じくらいが30.5%でした。終えるのも、猫が58.5%、飼い主が21.5%、どちらも同じくらいが20.0%でした。
研究者は、この結果を、取ってくる猫が遊びの始まりと続き方に関わっている可能性として捉えています。
マロン学長「猫が置いて、猫がもういいやって離れることもあるんだね。」
いち教授「うん。飼い主の見方を集めた結果だから、猫の心の中まで断言はできない。でも、猫の動きを待つ価値はあるよ。」
誰が始めるかで、遊びの量も違った
面白いのは、誰が遊びを始めるかと、遊びの量との関係です。飼い主が始めることが多い家庭では、月の遊びの回数が中央値4回で、猫が始める家庭の中央値10回より少なくなっていました。直近の遊びで取ってきた回数も、飼い主が始める場合はやや少ない傾向でした。
終わり方でも違いがありました。飼い主が終える場合は直近の遊びで中央値8回、猫が終える場合は中央値5回でした。この研究が測ったのは遊びの長さではなく、直近の遊びで猫が物を取ってきた回数です。
これらは飼い主の申告にもとづく関連であり、猫が始めれば遊びが増える、と因果を示したものではありません。よく遊ぶ猫ほど自分から始める、という逆の向きもありえます。猫が遊びを終えると回答された場合に、直近の遊びでの回収回数が少なかったという全体の形は、家庭で猫のペースを尊重する見方と重なります。
論文は、最初に誰が遊びを始めたのかは、質問票の書き方からははっきり分けられなかったとも述べています。飼い主が投げた物を猫が持ってきた、という記述と、猫が先に物を持ってきたので飼い主が投げた、という記述の両方があり、始まりの順序は家庭ごとに違っていました。「猫が始める」という結果は、日々の遊びの平均的な形であって、最初の一回の話ではありません。
「もう一回」と「もう終わり」を分けて見る
物を近くへ運び、こちらを見る、投げた物へすぐ向かう。こうした流れが続くなら、遊びへの関心が残っているかもしれません。反対に、離れる、横になる、毛づくろいを始める、別の場所へ行くなら、遊びを終えたい合図の候補です。
自由記述には、途中で物を落として戻ってくる猫、投げた距離が短いと取りに行かない猫、決まった部屋や決まった人としか遊ばない猫などが登場します。猫ごとに「遊びの決まり」があり、それを飼い主が読み取っていた様子がうかがえます。
一つの動きだけで決めず、前後の様子を見ます。猫が戻らないのに何度も呼んだり、物を近づけ続けたりしないことも、遊びを安心して終えるための関わりです。
今日からできること
- 遊びの前後に、猫が近づいた時と離れた時を観察する
- 離れたら追いかけず、次の誘いを待つ
- 猫が始めた遊びと、自分が誘った遊びの続き方を比べてみる
まとめ会話
マロン学長「猫がやめたら、ぼくも『また今度ね』って待てばいいんだ。」
いち教授「そうだね。次回は、猫が運ぶ物の多様さと、安全なおもちゃの選び方を見よう。」
次回予告
第4回は、猫が好んで運ぶ物の多様さと、安全に遊ぶための確認を整理します。