多頭飼育の猫は、少し警戒気味?
多頭飼育か単頭飼育か、家庭に子どもがいるかどうかが、猫の過ごし方にどう関係していたかを紹介します。

導入会話
マロン学長「多頭飼育か、1匹だけかでも、過ごし方に違いが出るのかな。」
いち教授「実は、そこにも違いが見られたんだ。ただ、今日の数字は特に慎重に読みたい。理由も一緒に見ていこう。」
この回でわかること
- 単頭飼育の猫は伏せる時間が長く、座る時間が短かった
- 地方の猫は都市部の猫より食事時間が長かった
- 子どもの有無との関係は、屋外アクセスなど別の要因と絡んでいる
単頭飼育と多頭飼育で、伏せる・座る時間が違った
単頭飼育の猫は、多頭飼育の猫より伏せている時間が長く(39.6%対35.1%)、座っている時間が短い(32.4%対39.2%)傾向がありました。論文では、伏せる(横になる)行動より、座る・立つ行動の方が、周囲への警戒レベルが高い状態を示している可能性があると考察されています。
マロン学長「多頭飼育の猫の方が、ちょっと気を張っていることが多いのかもしれないんだね。」
いち教授「その可能性が示唆されている、ということだね。断定はできないけれど、多頭環境では、猫同士の関係に気を配る場面が増えるのかもしれないよ。」
ここで注意したいのは、著者らが「座る・立つは伏せるより警戒度が高い、と仮定すれば」と前置きしている点です。センサーが測っているのは姿勢であって、警戒しているかどうかではありません。座っていても穏やかな猫はいますし、多頭飼育の猫は同居猫と遊んだり見張り合ったりする時間が増えるだけかもしれません。「多頭飼育はストレス」と読むのは、この研究の範囲を超えています。
犬の有無については、今回調べた8つの行動のどれにも有意な影響は見られませんでした。
地方の猫は、食事時間が長かった
地方(田舎)に住む猫は、都市部に住む猫より、夏・冬いずれも食事に費やす時間が長い傾向がありました。夏は6.4%対4.6%、冬は9.6%対4.7%で、特に冬は差が大きくなっています。地方の猫は冬のほうが夏より食事時間が長く、都市部の猫には季節差がありませんでした。
マロン学長「地方だと、食べ物を探す機会や環境が違うのかもね。」
いち教授「そうかもしれないね。ただ、この研究では詳しい理由までは調べられていないから、一つの手がかりとして受け止めておこう。」
ここで測っているのは「食器のところで食べている時間」であって、食べた量ではありません。時間が長いのは、量が多いからかもしれませんし、少しずつ何度も食べているからかもしれません。地方の猫は7匹、都市部は21匹と数の差も大きく、地方の7匹の個性が数字を動かしている可能性もあります。
子どもの有無との関係は、少し複雑だった
家庭に子どもがいる猫は、子どもがいない猫と比べて、冬は立っている時間が長く、夏は伏せている時間が長く座っている時間が短い、という結果が出ました。
マロン学長「季節によって結果が違うのは、なんだか不思議だね。」
いち教授「この研究では、子どもがいる家庭の猫は全員が屋外アクセスを持っていたことも影響している可能性が指摘されているよ。夏は外で過ごす時間が長く、冬は室内で過ごす時間が長くなる、という別の要因が絡んでいるかもしれないんだ。」
子どもがいる家庭の猫は夏に8匹、冬に10匹でした。数が少ないうえに、屋外アクセスという別の条件と完全に重なっています。この結果から「子どもがいると猫は落ち着かない」と読むことはできません。研究者自身も、さらに調べる必要があると書いています。
今日からできること
- 多頭飼育で「座っている時間が長い」猫がいても、姿勢だけで緊張と決めない
- 食事時間が長いか短いかより、量と体重の変化を見る
- 子どもがいる家庭では、猫が自分で選んで離れられる場所があるかを確かめる
まとめ会話
マロン学長「環境によって、いろんな違いが出てくるんだね。」
いち教授「次回は、この研究を暮らしにどう活かすかをまとめよう。」
次回予告
第5回は、この研究の内容を家庭での猫との暮らしにどう活かすかをまとめます。