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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座035第2回 / 全5回

実験はどう設計された?4つの働きかけを読む

声だけ・視覚的な合図・両方・働きかけなしという4条件を、除外基準と未接近時の扱いまで詳しく読みます。

いち教授
いち教授
講座035

導入会話

マロン学長「今回は実験の中身を詳しく見ていくんだね。」

いち教授「そうだよ。除外された猫と、各条件で近づかなかった試行を分けて読むのがポイントだよ。」

この回でわかること

  • 18頭から12頭になった除外基準
  • 各条件で近づかなかった試行は75秒としたこと
  • 行動時間を75秒へ換算した理由

対象は18頭から12頭に絞られた

対象は、フランスのボルドーとトゥールーズにある猫カフェで暮らす成猫18頭(メス8頭・オス10頭、3〜9歳)でした。全頭が去勢・避妊済みで、カフェに3年以上暮らし、見知らぬ人との関わりに慣れていました。

ただし、実験中にストレスサイン(隠れる、逃げようとする、苦痛の鳴き声など)が多く出た猫、実験者に一度も近づかなかった猫は除外されました。最終的に解析対象になったのは12頭(メス6頭・オス6頭、3〜7歳)でした。

マロン学長「無理に近づかせようとはしなかったんだね。」

いち教授「全試行で一度も来なかった猫は解析対象外だよ。でも、解析対象12頭が特定の条件で来なかった試行は、75秒として結果に残しているんだ。」

論文を深く読む

猫は約10秒の保定後に放され、約3.5m先の実験者へ10cm以内まで近づく時間を測られました。試験は最大75秒です。解析対象の猫がある条件で近づかなかった、または退出意思を示した場合、その試行の接近潜時は75秒としました。これは、全試行で一度も近づかなかった猫を最終解析から除外した基準とは別です。

接近が速い猫は動画の観察時間も短くなります。そこで11行動の時間は、(行動時間 ÷ 観察時間) × 75 で75秒換算しました。後に出てくるしっぽ振りの13.98秒などは、この調整済み時間です。

同じ猫が4条件を経験するため、解析にはFriedman検定を使いました。その後の組み合わせ比較はFriedman–Conover検定で行い、比較数が増える影響をBonferroni法で補正しました。

4つの働きかけの中身

猫は馴化(実験環境や実験者に慣れるための準備段階)を経たあと、次の4つの条件をランダムな順番ですべて経験しました。

  • 何もしない(対照):実験者は猫を見ず、話しかけず、手も差し出さない
  • 視線・身振りのみ:手を差し出し、猫を見る・床を見るを繰り返し、ゆっくり瞬きをする
  • 声のみ:名前を呼ぶ・呼びかけ音を出すが、手は出さず、視線を合わせないよう上を向く
  • 複合(視線+声):手を差し出し、視線とゆっくり瞬きをしながら、名前を呼ぶ・呼びかけ音も出す

マロン学長「声だけの条件で、わざと目を合わせないのが気になるな。」

いち教授「そこが後で効いてくるんだ。猫にとって、声だけで目を合わせないというのは、実は不自然な組み合わせだったのかもしれないんだよ。」

各条件で、猫が実験者から10cm以内に近づくまでの時間(最大75秒)が記録されました。近づいたら、おやつが与えられました。

行動はビデオで細かく記録された

記録には、鳴く、瞬き、視線をそらす、匂いを嗅ぐ、毛づくろい、移動、耳を動かす、実験者を見る、飼い主を見る、しっぽを振る、しっぽを立てるという11の行動が含まれました。これらはBORIS(行動観察用のソフト)を使ってビデオから記録されています。

統計には、同じ猫が複数の条件を経験する実験でよく使われるFriedman検定という方法が使われました。

今日からできること

  • 「除外された猫」と「ある条件で来なかった試行」を混同しない
  • しっぽ振りの数値は実測秒ではなく75秒換算値として読む

まとめ会話

マロン学長「声だけで目を合わせないのが、あとで意味を持ってきそうだね。」

いち教授「その通り。次回は、近づくまでの時間の結果を詳しく見ていこう。」

次回予告

第3回は、猫が実験者に近づくまでの時間について、どんな結果が出たのかを見ていきます。

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