室内の猫は、人の出入りに合わせて食べていた
人が部屋に入る時間と、猫の動き・食事のピークが重なっていた結果を扱う第4回。狭い空間ほど人の影響が大きかった点を整理します。

導入会話
はち助教授「マロン、猫が動き出す時間って、人が動いている時間と重なっていない?」
マロン学長「あっ、たしかに。ぼくが起きたら起きてくるし、台所に立つと来るかも。」
はち助教授「今回の記録でも、そこがはっきり出ているの。しかも、狭い方でより強く出たのよ。」
この回でわかること
- 人が入っている時間に、どちらのグループも動きと食事が増えた
- 室内では、食事に対する人の影響が特に大きかった
- 屋外では、人の影響は食事より動きの方に出ていた
世話の時間は、毎日同じ時刻にそろえてあった
この研究では、世話をする人が部屋や運動場に入る時間が決められていました。室内は朝8時台、昼前の11時台、夕方16時前後。屋外は朝9時台、昼前の11時台、夕方16時台です。掃除をして、猫と関わり、設備を確認します。
条件をそろえるための決まりですが、おかげで「人が来る時間」と猫の記録を重ねて見られるようになりました。
室内では、給餌の時間に食べる量が大きく増えた
室内の猫は、フードが新しくなる昼前の時間に、食べる量が大きく増えていました。人が最後に部屋を出たあとの16時ごろにもピークがあります。朝は最初の人が入ってから次の人が来るまでの間、動きが増えていました。
一方、屋外の猫で食事のピークがはっきり出たのは、夕方に人が入る時間の1回だけでした。動きの方は、人が入る3つの時間帯すべてで増えています。
マロン学長「屋外の猫は、人が来ても食べるより動く感じなんだ。」
はち助教授「そう読める結果ね。人の影響の出方が、食事と動きで分かれているの。」
狭い場所では、人が近い存在になる
なぜ室内で影響が大きかったのか。研究者は2つの理由を挙げています。
ひとつは、室内の猫の方が世話をする人と親しく、日常的に関わっていたこと。屋外の猫は多くが元野良で、人との距離が違います。
もうひとつは、単純に空間の広さです。約29平方メートルの部屋では、人が入ってくれば猫のすぐそばにいます。約1145平方メートルの運動場では、人がいても遠いことがあります。同じ「人が来た」でも、届き方が違うわけです。
マロン学長「近いと、それだけで大きな出来事になるのか。」
はち助教授「そうなの。狭い空間では、人の出入りそのものが一日の区切りになるのよ。」
家庭に置き換えると
家庭の猫は、この研究の室内グループよりさらに人と近い場所で暮らしています。起きる、出かける、帰る、食事の支度をする。人の動きが猫の一日の目印になっている可能性は、十分にあります。
猫が特定の時間に鳴く、そわそわする、食べに行く。それを猫の側の問題として見る前に、その時間に人が何をしているかを確かめてみる。この研究の結果は、そういう見方を後押しします。
今日からできること
- 猫が動き出す時間と、家族の行動の時間を並べて1週間メモする
- 食事の合図になっている動作(袋の音、戸棚を開けるなど)に気づいておく
- 生活時間が変わるときは、猫の様子も一緒に見ておく
まとめ会話
マロン学長「猫の時間割に、ぼくたちがけっこう入り込んでるんだね。」
はち助教授「ええ。悪いことではないの。ただ、意識しておくと変化の理由が読みやすくなるわ。」
マロン学長「最後は何を見るの?」
はち助教授「リズムがはっきりしていたのは室内の猫だった、という結果よ。これをどう受け取るかを考えましょう。」
参考文献
- Parker M, Serra J, Deputte BL, Ract-Madoux B, Faustin M, Challet E. Comparison of Locomotor and Feeding Rhythms between Indoor and Outdoor Cats Living in Captivity. Animals. 2022;12(18):2440. https://doi.org/10.3390/ani12182440