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ネコフリークス大学Neko Freaks University
講座058第3回 / 全5回

4時間の方がよく休んだ?観察時間の割合を読み直す

留守中の休息割合は4時間条件0.58、30分条件0.27でした。ただし観察区間の構成が違います。差がなかった時間帯も含め、割合を気持ちへ直結させない読み方を学びます。

いち教授
いち教授
講座058

導入会話

マロン学長「4時間条件の方が休んでいたなら、長い留守番の方が猫は落ち着くんですか?」

いち教授「その結論は早いよ。まず、どの時間を分母にした割合なのかを確かめよう。」

マロン学長「同じ「休んだ割合」でも、観察時間の組み方で見え方が変わるんですね。」

この回でわかること

  • 留守中に差がなかった観察区間
  • 休息割合0.58対0.27の読み方
  • 割合の差を快適さへ変換できない理由

差がなかった区間から見る

飼い主が出る前5分には、30分条件と4時間条件で明確な行動差がありませんでした。留守番の最初の5分、終了前の二つの5分区間、両条件で対応させられる20〜25分にも差は見つかりませんでした。

この結果は「完全に同じだった」ことの証明ではありません。14匹の観察で、統計的に区別できる差が検出されなかったという意味です。

それでも、最初の5分や対応可能な同じ時点で大きな差が出なかったことは、全体の休息割合を解釈するときに重要です。

0.58対0.27という結果

抽出した留守中区間をまとめると、横になる・休む行動の割合は、4時間条件で0.58±0.08、30分条件で0.27±0.10でした。対応のある比較ではT=22.5、p=.02です。

数値だけなら、4時間条件の猫は観察区間の約58%、30分条件では約27%を休息に使ったように見えます。

しかし、30分条件では出発直後の活動時間が、短い観察全体の中で大きな割合を占めます。4時間条件では、同じように出発直後に動いたとしても、その後の長い休息区間が加わります。

分子の休息だけでなく、分母にどの時間が入ったかが割合を変えます。

「4時間の方が落ち着いた」ではない

横になっていたことから、安心、退屈、諦め、眠気のどれか一つを選ぶことはできません。休息は観察可能な行動ですが、そのときの主観的な気持ちは直接測られていません。

また、4時間条件の方が休息割合が高いことは、4時間の留守番が福祉上よいという評価でもありません。食事、飲水、排泄、室温、健康状態など、安全性に関わる条件を比べた研究ではないからです。

時間をそろえた比較を見る

原著は、両条件で対応可能な20〜25分を比べています。そこでは明確な差が見つかりませんでした。

この情報は、長い条件の方が時間経過に応じて休息が蓄積したという解釈と両立します。猫が長い外出を予測して最初から行動を変えた、と示す結果ではありません。

時計の長さを猫が理解したかどうかを調べるには、時間手がかり、条件の繰り返し、予測行動などを別に設計する必要があります。

見つからなかった差も結果

研究紹介では「4時間条件で休息が増えた」という一文が残りやすくなります。けれど、最初、最後、共通時点で差がなかったことも同じ論文の結果です。

目立つ有意差を一本の物語にせず、差がなかった比較を隣へ置くと、結論の輪郭が整います。

今日からできること

  • 割合を見るときは、分母となる観察時間と抽出区間を確認する
  • 「休んでいた」という観察と、「安心していた」という解釈を別の欄に書く

まとめ会話

マロン学長「58%対27%でも、同じ長さの時間を丸ごと比べた数字ではないんですね。」

いち教授「そう。割合は正しくても、そこから作る物語が正しいとは限らない。」

マロン学長「差がなかった区間も一緒に読むことが大切ですね。」

次回予告

次回は帰宅後5分へ進みます。ゴロゴロ音、伸び、飼い主の声かけがどう変わり、3匹を除いた再解析で何が残ったのかを確認します。

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