132人が優先した家具要件
安定性、動線分離、掃除・保守、爪とぎなど九要求を、猫の選好と混同せず読みます。

導入会話
マロン学長「高い場所が一番大事だと思ったけど、順位は違ったの?」
はち助教授「答えたのは猫ではなく飼い主なの。何の順位かを先に確認しましょう。」
この回でわかること
- 132人が評価した九つの家具要求
- Kanoモデルの三つの分類
- 人の順位を猫の順位にしない理由
132人が九つの要求を評価した
第2段階では、質問票150件を回収し、有効な132件を分析しました。回答者の住戸は30〜70平方メートル、平均48.6平方メートルで、単身35%、二人世帯40%、核家族25%、複数の猫を飼う人が45%でした。
評価の対象は、家具への九つの要求です。掃除・保守のしやすさ、構造の安定性と利用者が感じる安全、専用の爪とぎ、人と猫の移動経路の分離、共有しながら層を分ける共存、高い見張り場所、適度な視覚接触、内装との調和、収納の集約。いずれも第1段階の観察と面接から取り出された項目です。
質問票は、Kanoモデルの標準的な形式で作られています。九つの要求それぞれについて、「その機能があったらどう感じるか」と「なかったらどう感じるか」の二つを聞き、「好ましい」「当然そうあるべき」「どちらでもない」「我慢できる」「嫌だ」の五つから答えます。二つの答えの組み合わせで、その要求がどの性質かを判定します。九つの要求は、第1段階で複数の場面にまたがって出てきた結果から取り出されました。たとえば「掃除・保守」は、猫の世話の場面だけでなく、ソファの毛、共有面の汚れ、散らばった猫砂など、複数の場面の記録から支持されています。
順位はこうなった
飼い主132人のKano評価では、構造安定性と利用者が感じる安全が影響度1.13、人と猫の経路の分離が1.10、掃除・保守と専用爪とぎが各1.05でした。内装との調和1.03、収納0.98、適度な視覚接触0.95、層を分けた共存0.90と続きます。
高い見張り場所は0.85で九項目中最後でした。しかし、これは高い場所が猫に不要という意味ではありません。質問票に答えた人が家具要件をどう優先したかの結果です。
マロン学長「猫に聞いたら、順位はきっと違うよね。」
はち助教授「そうかもしれないわ。でも猫には聞けないから、この研究は人の側の答えだと明記しているの。」
「なくては困る」と「あればうれしい」
Kanoモデルは、要求を性質で分ける道具です。この研究では、構造の安定性、掃除・保守、専用爪とぎが「Must-be(なければ不満になる基本条件)」、経路の分離、内装との調和、収納が「One-dimensional(満たされるほど満足が上がる)」、視覚接触、層を分けた共存、高い見張り場所が「Attractive(なくても不満ではないが、あれば喜ばれる)」に分類されました。
高い見張り場所が最下位だったのは、「いらない」ではなく「あればうれしい側に置かれた」という意味です。飼い主にとって、まず壊れない・掃除できる・爪とぎ場所がある、という土台が先に来た、と読めます。
誰の要求か、を忘れない
この評価は人である回答者の優先度であり、猫の選好や福祉の測定ではありません。猫がどの高さを選ぶか、どの素材で爪をとぐか、人との視線の距離をどう感じるかは、この質問票では分かりません。
人の要求順位を、猫の好みや福祉の順位へ置き換えません。
今日からできること
- その数値を誰が評価したか確認する
- 人の困りごとと猫の選択を別欄に書く
- 順位だけで項目を削らず、家庭で起きる場面と照らす
まとめ会話
マロン学長「人の順位と猫の好みは、別の表に書いておくんだね。」
はち助教授「ええ。次は、この要求から作られた二つの家具案と、その評価の数字を読むわよ。」
次回予告
二つの概念案と0.802、0.794という指標を読みます。