C・A・Tを「正解の撫で方」にしない
Choice、Attention、Touchの三つを、場所と秒数の固定ルールではなく猫へ選択を返す順番として学びます。

導入会話
マロン学長「頭の横を3秒だけ撫でれば、どの猫にも正解なのかな?」
いち教授「場所と秒数だけでは足りないよ。CATの中心は、猫の次の選択を見られる形を作ることなんだ。」
この回でわかること
- Choice・Attention・Touchの役割
- 3秒で止まる本当の目的
- 場所より先に猫の参加を見る理由
C:猫に始める・終える選択を残す
Choiceは、猫が人との接触へ参加するか、途中で離れるかを選べる状態です。人が猫へ近づき続けたり、逃げ道をふさいだり、離れた猫を追ったりしません。
猫が隣へ来たことは、すぐ触れてよい合図とは限りません。そばで休みたい、においを確かめたい、通り過ぎたい場合もあります。手を近づけ続けず、猫が頭や頬を寄せるかを待ちます。
触り始める前から、猫の選択は始まっています。
A:触れている間の変化を見る
Attentionは、最初の反応だけでなく、接触中の変化へ注意することです。猫が動かないから同意している、と決めません。
顔を背ける、耳の向きが変わる、尾が強く動く、体が硬くなる、皮膚が波打つ、離れるなどがあれば、いったん手を止めます。反対に、猫がもう一度頬を寄せる、手の近くに戻る、体を預け直すこともあります。
一つのサインだけで気持ちを確定せず、接触の前後と普段との差を合わせます。
マロン学長「じっとしていても、我慢しているだけのことがあるんだね。」
いち教授「そう。動かないことを『いいよ』の合図と読まない。それがAttentionの中身だよ。」
T:主に頭の側面から短く触れる
研修では、接触を主に頭の側面へ限定し、およそ3秒で止めるよう伝えました。ここで大切なのは「3秒が最適時間」ということではありません。
止まる時間があると、猫は続きを求める、近くに残る、離れるという選択を示しやすくなります。耳の付け根や頬を好む猫は多くても、すべての猫が同じ場所を好むとは限りません。
腹、尾の付け根、脚などへ触れて反応を試す必要もありません。普段から受け入れる場所で短く始めます。
この研究だけでは猫側の効果を言えない
本研究は、人の接し方がCAT指針へ沿ったかを評価しました。研修後に猫の親和行動が増えたか、対立行動が減ったかは測っていません。
猫側の変化は、別の2021年研究で短時間訓練の前後を比較しています。二つの研究を合わせても、家庭の全猫へ同じ効果が出る保証にはなりません。
著者らは考察で、接し方が予測できるものになることが猫の福祉や譲渡のしやすさに役立つ可能性にも触れています。しかしこれは先行研究や理論からの考察で、この研究が譲渡までの日数や猫のストレスを測ったわけではありません。
マロン学長「人の動きは測ったけど、ぼくたちがどう感じたかは測っていないんだね。」
いち教授「そうだよ。人の側の変化が猫にどう届いたかは、次の研究の課題なんだ。」
今日からできること
- 猫が近づくまで、自分の手を動かし続けない
- 普段受け入れやすい頭・頬へ短く触れ、いったん止める
- 続けるかは、止めた後の猫の動きで決める
まとめ会話
マロン学長「C・A・Tは、ぼくに選択を返してくれる順番なんだね。」
いち教授「うん。場所と秒数を守るだけでなく、猫の答えを待つ時間を作ろう。」
次回予告
質問票で「できている」と答えることと、動画で見える行動がどう違ったかを読みます。
参考文献
Hatam EV, et al. (2026). Frontiers in Veterinary Science, 13, 1880180. https://doi.org/10.3389/fvets.2026.1880180