自己申告と実際の行動がずれた?
態度・実践の質問票と90秒動画が、6か月後に同じ動きをしなかった結果から、振り返り方を考えます。

導入会話
マロン学長「『猫の反応を見ている』って答えたら、実際にもできていることになる?」
いち教授「自分の考えと、動画に映る行動は別の測り方だよ。両方を比べたところがこの研究の面白い点なんだ。」
この回でわかること
- 態度得点と実践得点の変化
- 動画評価との動きの違い
- 自己評価だけで終わらない振り返り方
質問票は「考え」と「普段のつもり」を測った
質問票は、猫の自律性や個体差をどう考えるかという態度と、普段どのように接していると自分で認識しているかという実践を尋ねました。どちらも5段階で、CAT指針へ近い回答ほど高くなります。
態度得点は研修前3.90、2週間後4.27、6か月後4.18でした。実践得点は4.22、4.66、4.43でした。
どちらも研修直後に高くなり、6か月後には少し下がりました。それでも研修前より高い状態でした。
動画評価には明確な低下を検出しなかった
同じ時期に、動画の「よく沿う」予測確率は2%から25%、37%へ上がりました。自己申告は2週間後が最も高かったのに、動画評価は6か月後に明確な低下を示しませんでした。
著者らは、最初はCATを意識して行動し、時間が経つと日常の習慣へ変わった可能性を論じています。習慣になると、自分では特別に良いことをしていると評価しなくても、行動は続くかもしれないという考えです。
ただし、この研究は習慣が形成されたかを直接測っていません。忙しさや職場環境、質問への慣れなど、ほかの説明もあります。
研修前の考えと行動は結びついていた
研修前の時点では、態度得点が高い人ほど動画評価も高いという関連がありました(p=0.005)。自己申告の実践得点と動画評価の関連は、はっきりしませんでした(p=0.091)。「猫の自律性を尊重すべきだ」と考えている人は、研修を受ける前から比較的CATに近い接し方をしていた、と読めます。
一方、研修2週間後には、研修前の態度・実践得点と動画評価の関連は検出されませんでした。研修前に考えが違っていた人たちが、研修後には行動の面で近づいた、という可能性を著者らは論じています。
「知っている」と「できている」を分ける
猫のサインを知っていても、実際には手を止めず撫で続けることがあります。反対に、言葉で説明できなくても、猫が離れたら自然に追わない人もいます。
自己評価が役に立たないわけではありません。自分の考えを言葉にし、実際の行動と照らすことで、ずれを見つけられます。
家庭では点数をつける必要はありません。「猫が近づく前に触ったか」「止めた後に猫を見たか」「離れた猫を追ったか」の三つだけでも振り返れます。
原著の記載にも未入力箇所がある
原著の態度と実践の関連を説明する段落には、参照先が入っていない ADD file info が残っています。そのため本制作では、「正の関連が報告された」ところまでに留め、相関係数などを推測していません。
出版済み論文でも、本文に編集上の残存表記があることがあります。見つからない数字を別の結果から作らず、確認できる範囲で読む必要があります。
今日からできること
- 「できていると思うこと」を一つ書く
- 次の接触で、その行動が実際にあったかだけを見る
- できなかった日も失敗と決めず、次に止まる場面を一つ決める
まとめ会話
マロン学長「知っているつもりと、動画に映る動きは同じとは限らないんだね。」
いち教授「そうだね。自分を責める採点ではなく、猫へ選択を返せた場面を見つける振り返りにしよう。」
次回予告
勤務年数2年未満で高い評価が出やすかった結果を、ベテラン批判にせず読みます。
参考文献
Hatam EV, et al. (2026). Frontiers in Veterinary Science, 13, 1880180. https://doi.org/10.3389/fvets.2026.1880180