毎日20:00更新
ネコフリークス大学Neko Freaks University
関係づくり掲載 2026.10.12

論文要約:日本の在宅時間・猫との接触・行動得点

Takagi et al. (2023). Animals, 13, 2217

読了 約4分中級2023年発表原文 DOI →

論文の概要

日本の最初の緊急事態宣言後、猫飼い主612人と犬飼い主577人へ、勤務条件、身体活動、WHO-5、ペットとの接触頻度、制限前後の行動を尋ねた研究です。ここでは猫の結果に絞ります。

猫への接触増加を報告した飼い主は345人、不変257人、減少10人でした。注意要求は制限後に高く、接触増加群では新奇恐怖や過剰・強迫的な自己毛づくろいなど一部のFe-BARQ得点が高い結果でした。

接触増加群の得点が高いことは、接触を増やした後に行動が悪化したことを意味しません。調査は一時点の回顧質問票で、事前登録・多重検定補正もありません。

研究デザイン

  • 募集:2020年7月以降、SNSと口コミ
  • 猫回答:678件から重複66件を除き612件
  • 回答者:女性92.65%、平均45.35歳(SD 10.36)
  • 世帯:単頭279、多頭333
  • 勤務群:在宅不変131、出勤不変183、出勤から在宅142、出勤頻度減156
  • 猫行動:Fe-BARQの多数尺度
  • 前後評価:回答時にCOVID-19前と制限中の期間全体を回顧
  • 分析:探索的な線形モデル・線形混合モデル。多重性補正なし

SNSからの自己選択標本で、東京都居住者、高所得者、女性に偏りました。日本の全飼い主を代表する無作為標本ではありません。

接触頻度の作り方

猫へ近づく、撫でる・触る、呼ぶ、給餌、おやつの五項目について、増加+1、不変0、減少-1で合計しました。得点1以上を増加群、0以下を不変・減少群としています。

接触の長さ、触った場所、猫と人のどちらが始めたか、猫がどう終えたかは分けていません。この「接触」を具体的な撫で方や抱っこの効果へ広げられません。

猫の主な結果

在宅群は出勤群より接触変化得点が高く(F(1,608)=8.350, p=.004)、勤務が変化した群も不変群より高い結果でした(F(1,608)=99.165, p<.001)。交互作用は有意ではありません(p=.156)。

注意要求は制限後に高い主効果がありました(χ²(1)=5.059, p=.024)。接触増加群では、新奇恐怖(χ²=17.977, p<.001)、過剰・強迫的自己毛づくろい(χ²=5.796, p=.016)、その他の強迫行動(χ²=8.758, p=.003)、薄明薄暮の活動(χ²=10.297, p=.001)が高い結果でした。

遊び・活動(χ²=5.489, p=.019)と注意要求(χ²=3.848, p=.049)は不変・減少群で高く、注意要求には別に制限後の主効果もありました。

これらは主に接触群の主効果です。著者も、ストレス関連行動自体には制限前後の有意な変化がなかったと考察で述べています。

WHO-5との関連

WHO-5が低いほど、接触過敏性・飼い主への攻撃(χ²=4.614, p=.032)、犬への攻撃(χ²=6.821, p=.009)、分離関連行動(χ²=4.468, p=.035)が高い関係でした。WHO-5と制限前後の交互作用はありません。

人の状態が猫へ影響した可能性、猫の行動が人の負担になった可能性、同じ回答者の認識が両方の得点へ影響した可能性を分けられません。

主な限界

  • 横断研究で、制限前の行動は約6か月後からの回顧
  • 飼い主の主観評価のみで、動画・生理指標なし
  • SNS・口コミによる自己選択
  • 女性、東京都居住者、高所得者に偏る
  • 接触増加群と不変群は無作為割付ではない
  • 多数の探索的検定に多重性補正なし
  • 日本の緩やかな行動制限から、他国や現在の在宅勤務へ直接一般化できない

この論文から言えないこと

  • 在宅勤務が猫へ良い、または悪い
  • 猫へ触れると過剰毛づくろいが増える
  • 猫との接触の安全な回数・時間
  • 飼い主の心の状態が猫の行動を起こした
  • 猫が人のメンタルヘルスを改善する
  • テレワーク用品や配置の効果

暮らしへ持ち帰るなら

接触の回数を一律に減らすのではなく、誰が始めたか、猫が留まったか、どこへ離れたかを観察します。在宅時間、会議・通知音、食事、遊び、休息場所の変化も別に記録します。

急な過剰毛づくろい、脱毛・皮膚異常、食欲・排泄・活動の変化は、在宅や性格だけで判断せず獣医師へ相談します。

参考文献

Takagi S, et al. (2023). Animals, 13, 2217. https://doi.org/10.3390/ani13132217

この論文のテーマを深く学ぶ

在宅時間が増えると猫との関係は変わる?——日本612人の回顧調査

日本の猫飼い主612人を対象に、勤務条件、接触頻度、Fe-BARQ行動得点の関係を調べた回顧質問票を全5回で読みます。

開講中講座を見る →
医療情報の取り扱い

本サイトの記事は、学術論文をAI技術を用いて要約・翻訳したものであり、獣医師による診断・治療に代わるものではありません。愛猫の健康状態に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。