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ネコフリークス大学Neko Freaks University
関係づくり掲載 2026.10.17

論文要約:猫に慣れた人ほど、猫のペースで触れられる?

Finka et al. (2022). Scientific Reports, 12, 12128

読了 約6分中級2022年発表原文 DOI →

論文の概要

Finkaら(2022)は英国の保護施設で、参加者が初対面の社交的な猫と接する場面を撮影しました。分析したのは119人と100匹で、人には最大3匹の猫と各5分ずつ接してもらいました。猫と暮らした年数、動物と関わる仕事の経験、人の性格、猫知識の自己評価が、接し方の違いとどう関連するかを探索しています。

人の行動から七つの「接し方の組み合わせ」を抽出しました。そのうち、猫から近づく余地を残し、人がむやみに触らず、猫の接近には応じる成分は、研究者が評価した猫主導に近い接し方と強く関連しました。猫との同居年数が長いほど、その成分の得点は低い方向でした。ただし、便宜的に募集した人の短い観察であり、経験が接し方を悪くするという因果は示しません。

ネコフリークスでは、撫で始める場所や触りすぎを扱う記事とは分け、人の「経験・自信」と実際の接し方が一致するかを検討します。猫が飼い主に似るか、家族の誰が一番好きか、誰と寝るかはこの研究の対象外です。

研究デザイン

  • 2020年1〜3月、英国Battersea Dogs and Cats Home。SNSから便宜的に募集した120人のうち、質問票が未完了の1人を除き119人。約90%が女性、57%が現在猫と暮らしていた。
  • 猫は当初114匹を撮影し、映像基準・健康/福祉・譲渡・人の安全の理由で14匹を除外。人に社交的な成猫100匹を対象にした。
  • 人は初対面の猫3匹と個別に各5分。椅子に座って猫を追わず、抱き上げは禁止。猫が手の届く範囲に150秒以上いた動画のみ採用した。人ごとの有効動画は1〜3本、計558本を符号化。
  • 人の接し方を13種類の行動として記録し、その頻度・時間を20変数にまとめて主成分分析(多くの行動の現れ方を少数の組み合わせに要約する方法)を実施。七成分を得た。
  • 研究者の「猫が接触を主導できる」3段階評定と成分得点を照合し、複数の統計モデルで人の属性との関連を探索。猫の長期福祉、家庭での効果、教育介入の効果はこの分析では測っていない。

主な発見

七つの接し方は「七種類の人」ではない

七成分は行動のばらつきの約80%を説明しました。第一成分は、人が受け身でも猫の接近には応じ、触る量を抑える接し方です。研究者の総合評定と強い正の関連がありました(p<.0001、擬似R²=.432)。ここでのp値は、無関係でもこれほどの統計的関連が見えるかを考える指標です。猫自身の長期的な福祉改善を示す値ではありません。

ほかの成分には、人が接触を始めて切る、長く触る、一般に好まれにくい腹・尾の付け根を触る、抱え/押さえる、手を差し出す、比較的好まれやすい耳の付け根・頬・あご下を触る、などがありました。成分は複数の行動が一緒に現れるパターンで、人を固定した七タイプへ分類したわけではありません。

飼育年数と猫主導に近い接し方

猫と暮らした年数が長いほど第一成分の得点は低い方向の関連でした。動物関連の仕事・ボランティア経験は、得点が高い弱〜中程度の関連でした。現在猫と暮らしているか、何匹と暮らしたか、知識の自己評価だけでは第一成分の高い得点を説明できませんでした。経験を積むことが接し方を悪くする、あるいは経験者が猫に嫌われる、と読むのは飛躍です。

自信と、触れる部位は一致しない

猫の知識・経験を高く自己評価した人は、比較的好まれやすい耳の付け根・頬・あご下へ触る成分だけでなく、一般に好まれにくい腹・尾の付け根へ触る成分でも高い方向の関連がありました。自己評価は客観的な技量試験ではなく、「知識がある人は危険な場所を触る」と個人に決めつけられません。

年齢・人の性格は接し方ごとに別の関連

56〜75歳の群は抱え/押さえる成分が高い強い関連。神経症傾向はその成分と弱い正の関連、協調性は腹・尾の付け根へ触る成分と中程度の負の関連、外向性は人が接触を始めたり切ったりする成分と中程度の正の関連でした。約90%が女性で性別は解析に含めず、複数モデルの適合差も小さかったため、年齢・性格による個人の扱いの評価には使えません。

数字で見るポイント

数字何を示すか読む時の注意
120→119人募集→解析SNSの便宜的募集、女性約90%
114→100匹撮影→猫の対象社交的な保護猫を選択
3匹×5分参加者の予定有効動画は1〜3本、計558本
150秒猫が手の届く範囲にいる最低時間接触を避け続けた動画は入りにくい
7成分、約80%人の行動パターンを要約人の七分類ではない
p<.0001第一成分と研究者評定の関連猫の長期的な幸福度ではない

原著内の記述の不一致

七成分を列挙する結果節の文章ではPC4を「比較的好まれやすい緑の部位」、PC7を「好まれにくい赤の部位」としています。しかし表2、続く予測因子の節、考察では逆にPC4=赤、PC7=緑です。この要約では、表2と後続の解析が一致する対応を採用しました。原著の食い違い自体は残しておきます。

この研究で断定できないこと

  • 猫を長く飼った人は接し方が下手、猫に嫌われる
  • 猫に好かれる人の性格、家庭での接し方の成功率
  • 猫が飼い主に似る、家族の順位、寝る相手の選択
  • 研究者の総合評定が猫の長期的な福祉そのものを測る
  • 緑・黄・赤の区分が全猫の触られたい場所を決める
  • 年齢や性格が観察された行動の原因である

原著を読む時の注意

社交的な猫に限定し、明らかなストレス・攻撃を示す猫は除外しました。人は座ったまま、猫を追わず、抱き上げないルールです。猫が近寄った時間が半分以上ある動画のみを採用したため、拒否・回避が続く場面へ広げられません。参加者は自己選択した標本で、約90%が女性です。主成分分析とモデル選択は探索的で、候補モデル同士の差が小さく、多くの関連は弱〜中程度でした。Battersea Dogs and Cats Homeが一部資金を提供し、著者は利益相反なしと申告しています。

暮らしへのヒント

自分が猫に慣れているという感覚と、目の前の猫が触れられることを選べているかは分けて考えられます。触る部位の「正解」を暗記するより、猫が近づく・離れる余地と、手を止めた後の反応を見直すきっかけになります。ただし本論文は家庭での手順の効果を試したものではありません。

参考文献

Finka LR, et al. (2022). Investigation of humans individual differences as predictors of their animal interaction styles, focused on the domestic cat. Scientific Reports, 12, 12128. https://doi.org/10.1038/s41598-022-15194-7

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本サイトの記事は、学術論文をAI技術を用いて要約・翻訳したものであり、獣医師による診断・治療に代わるものではありません。愛猫の健康状態に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。