「もう終わり」を待てる遊びにしよう
猫が物を持ってくる遊びを、回数や訓練の成功で測らず、猫が始めたい時と終えたい時を尊重する関わり方としてまとめます。

導入会話
マロン学長「何回持ってきたら、たくさん遊べたことになるのかな?」
いち教授「回数だけでは決められないよ。猫が無理なく参加して、休みたい時に休めることの方が大切なんだ。」
この回でわかること
- 取ってくる回数は、遊びの満足度を測る点数ではない
- 猫が離れる、休む、別のことを始める様子を尊重する
- 急な変化や異物を口にする行動は、遊びだけで片付けない
回数は、点数ではない
研究の回答では、直近の遊びで取ってきた回数は1〜5回が最も多く、月の遊びの回数は1〜10回が最も多くなっていました。中には何十回も取ってくる猫も報告されていますが、それは少数です。
論文は、取ってくる行動の主導権は猫の側にあることが多いと結んでいます。回数が多い猫が「よく遊べている」わけでも、数回で終える猫が「飽きっぽい」わけでもありません。その猫にとってちょうどよい長さがあり、それを決めているのは多くの場合、猫のほうです。
マロン学長「5回で終わっても、ちゃんと遊んだことになるんだね。」
いち教授「そうだよ。猫が自分で終えたなら、それはその日の遊びとして完結しているんだ。」
猫のペースは、遊びの途中で変わる
研究では、取ってくる猫を報告した飼い主の多くが、開始も終了も猫の方が多いと答えました。これは、猫が毎回はっきり意思表示していると証明するものではありません。
けれど、猫が近づいてきた時には応じ、離れた時には待つという関わりは、研究の結果に無理なく重ねられます。こちらが「あと一回」と思っても、猫が終わりにしたい時はあります。
マロン学長「遊びを終えるのも、失敗じゃないんだね。」
いち教授「もちろん。楽しく終えられれば、次に遊びたくなった時にも安心して誘いやすいんだ。」
こんな時は、遊び以外の理由も考える
夜中に何度も物を顔へ運んで起こす、急に物への執着が強くなった、食べ物ではない物をかじる・飲み込もうとする、元気や食欲が変わった。こうした場合は、「遊び好きだから」で終わらせない方が安全です。
自由記述には、寝ている飼い主のベッドに物を置いていく猫の話も出てきます。かわいらしい一面ですが、それが毎晩続いて眠れない、日中の遊びが足りていないように見える、という場合は、遊びの時間帯や量を見直すきっかけにもなります。
特に異物を口にした可能性がある時や、吐く、苦しそう、元気がない時は、早めに獣医師へ相談してください。遊びの環境を整えることと、体調の変化を見逃さないことは両立できます。
今日からできること
- 猫が離れたら、追いかけずに遊びを終える
- 遊ぶ物と時間を決め、終わったら安全を確認して片付ける
- 夜間の持ち込みが続くなら、日中の遊びの時間帯を見直す
まとめ会話
マロン学長「持ってきたら遊ぶ、離れたら待つ。ぼくにもできそう!」
いち教授「いいね。取ってくる・来ないに関係なく、猫が選べる遊びを一緒につくっていこう。」
講座のまとめ
- 取ってくる行動は猫の遊びの一つで、しない猫が遊び下手なわけではない
- 研究は取ってくる猫を報告した飼い主924人・猫1,154匹の質問票調査で、猫全体の割合は分からない
- 94.4%は教えずに始まり、多くは1歳未満で気づかれた。オスとメスで遊び方に差はなかった
- 遊びを始めるのも終えるのも猫のほうが多く報告され、猫が始めた遊びのほうが回数が多かった
- 好きな対象は多様で、猫用おもちゃは4割弱。危険な日用品は遊びに使わず、遊び終わりに片付ける
- 回数は点数ではない。猫が離れたら待ち、急な変化や異物の心配は獣医師へ相談する