猫がしっぽをパタパタする意味は?耳と合わせて読むサイン
猫がしっぽをパタパタ・ぶんぶん動かす時は、喜びや怒りだけでなく、興味、集中、迷い、不快が混ざることがあります。耳・体・場面と合わせた読み方をまとめます。


目次
結論:しっぽのパタパタだけで気持ちは決めない
猫がしっぽをパタパタ、ぶんぶん、トントンと動かしていると、「喜んでいるのかな」「怒っているのかな」と気になります。
ただ、猫のしっぽの動きは、ひとつの意味に固定できません。興味がある、集中している、迷っている、少し不快、もう触られたくない、びっくりしている。場面によって読み方が変わります。
まずは、しっぽだけで決めず、耳の向き、体の硬さ、目線、今起きている場面を合わせて見ます。特に、撫でている時にしっぽが速く強く動き始めたら、いったん手を止める合図として受け取るのが安全です。
なぜそう言えるのか(研究からわかっていること)
Deputteら(2021)は、シェルター猫29頭を対象に、猫同士と猫と人のやりとりを観察し、耳としっぽの組み合わせが交流の結果とどう関わるかを調べました。研究では、猫同士の交流では耳の向きが結果と強く関わり、人に近づく場面ではしっぽを上げて耳を立てる組み合わせが多く見られました。
つまり、しっぽは大事なサインですが、しっぽだけで読むと足りません。耳が立っているのか、横や後ろへ流れているのか、体がやわらかいのか、固まっているのかまで合わせる必要があります。
NicholsonとO’Carroll(2021)も、猫の感情を読む時は、顔だけ、目だけ、しっぽだけではなく、目、耳、尾、体、行動、状況をまとめて見ることが大切だと整理しています。
まず見る3点

しっぽがパタパタしている時は、次の3つを先に見ます。
- 速さと強さ。 ゆっくり先だけ動くのか、床を叩くように速く強く動くのかで緊張度が変わります。
- 耳と体。 耳が前を向き、体がやわらかいのか。耳が横や後ろへ流れ、体が固いのかを見ます。
- 場面。 撫でられている時、遊び中、窓の外を見ている時、猫同士が近づいた時では意味が変わります。
しっぽが動くほど「強い感情」とは限らない
しっぽが大きく動くと、強い怒りに見えることがあります。でも、遊びへの集中や獲物への興味でも、しっぽの先が動くことがあります。
逆に、しっぽがあまり動かなくても、耳が伏せて体が低くなっているなら、強い緊張や恐怖があるかもしれません。動きの大きさだけで決めないことが大切です。
場面別に見る

撫でている時にパタパタする
撫でている途中で、しっぽが床を叩くように動いたり、先が速く振れたりするなら、いったん手を止めます。気持ちよさそうに見えても、刺激が強くなっている、もう十分、少し迷っているというサインかもしれません。
耳が横や後ろへ流れる、皮膚がピクッとする、顔をそらす、体が固くなる、手に口を向ける。このあたりが一緒に出るなら、触り続けない方が安全です。
遊び中にパタパタする
おもちゃを見て、しっぽの先だけが小さく動くことがあります。これは興味や集中の手がかりとして見られることがあります。
ただし、遊びが激しくなりすぎて、耳が寝る、体が固まる、噛みつきが強くなる、呼吸が荒くなるなら休憩します。楽しいから続ける、ではなく、反応が荒くなる前に終えるのがコツです。
窓の外を見ている時にパタパタする
鳥や虫、外の音に注目している時、しっぽの先が動くことがあります。近づいて触るより、何を見ているのか、体が固まりすぎていないかを観察します。
急に抱き上げたり、後ろから触ったりすると驚かせることがあります。集中している時ほど、声をかけてから近づく方が安全です。
猫同士が近づいた時にぶんぶんする
多頭飼いで猫同士が近づいた時、しっぽが強く動き、耳が横や後ろへ流れ、体が固くなるなら、距離を作る合図にします。
しっぽだけを見て「遊びたいのかな」と判断せず、相手を見る目線、耳、体の向き、逃げ道があるかを見ます。片方が離れたそうなら、追わせないことが大切です。
抱っこ中にパタパタする
抱っこ中にしっぽが速く動き、体が固くなったら、下ろしてほしいサインかもしれません。しがみついているように見えても、逃げにくくて固まっている場合があります。
抱っこを続けるより、足場のある場所へそっと下ろし、猫が離れられるようにします。
触る手を止めたいサイン
しっぽの動きに次のサインが重なったら、いったん触るのをやめます。
- しっぽを床に強く打つ
- しっぽの先が速く細かく動く
- 耳が横や後ろへ流れる
- 体が固くなる
- 顔をそらす
- 皮膚がピクッと動く
- 手に口や前足を向ける
- その場から離れようとする
ここで手を止めると、猫は「嫌だと伝えたら伝わった」と学びやすくなります。噛むまで待たず、手前のサインで終える方が、関係はこじれにくくなります。
やりがちな読み違い
- 犬みたいに喜んでいると思う → 猫のしっぽの振り方は、犬と同じ意味ではありません。
- しっぽを振ったら全部怒りだと思う → 興味、集中、迷い、遊びの興奮でも動くことがあります。
- パタパタしても撫で続ける → 触りすぎの前ぶれのことがあります。いったん止めて反応を見ます。
- しっぽだけで判断する → 耳、体、目線、場面とセットで見ます。
- 噛んだあとに叱る → 叱るより、噛む前のしっぽや耳のサインで止める方が実用的です。
相談したいサイン
しっぽを触ると強く痛がる、しっぽが急に下がったままになる、動きが左右で不自然、尾をかじる、毛が抜ける、歩き方が変、排尿や排便の様子が変わる。こうした場合は、気分の問題だけでなく、けがや痛み、皮膚の違和感なども考えます。
また、以前は平気だった撫で方で急にしっぽを強く振る、噛む、逃げるようになった場合も、体調変化が隠れていないか確認した方が安心です。
よくあるご質問
Q. しっぽをパタパタしていたら怒っていますか?
怒りとは限りません。興味、集中、迷い、不快、刺激の強さなど、いくつかの可能性があります。耳が横や後ろへ流れる、体が固い、触っている最中に強く動くなら、いったん距離を取ります。
Q. 撫でている時にしっぽを振るのは、やめてほしいサインですか?
やめてほしい、または刺激が強くなってきたサインのことがあります。特に床を叩くように強く動く、耳が流れる、皮膚がピクッとするなら、いったん手を止めて猫の反応を見ます。
Q. しっぽの先だけピクピクするのは何ですか?
何かに注目している、考えている、少し興奮している時に見られることがあります。ただし、場面次第です。おもちゃや外の鳥を見ているのか、触られて迷っているのかを合わせて見ます。
Q. しっぽをぶんぶんしている時に遊んでもいいですか?
遊び中なら興奮の一部として出ることがあります。ただ、噛みつきが強くなる、耳が寝る、体が固い、呼吸が荒いなら休憩します。激しくなるほどよい遊びとは限りません。
Q. 多頭飼いでしっぽを振っている時は止めた方がいいですか?
しっぽだけでは決めません。耳が横や後ろへ流れる、凝視する、体が固い、逃げ道をふさいでいるなら、距離を作ります。無理に抱き上げて割り込むより、通路や視線を分ける方が安全です。
マロン学長より
しっぽは、猫からの小さな実況中継みたいなもの。 でも字幕はしっぽだけに出ないんだ。耳、体、場面まで一緒に見ると、ぐっと読みやすくなるよ。
関連リンク:
- 講座:猫の視覚サイン研究——耳としっぽの読み方を学ぶ5回講座
- 講座:猫の感情サイン研究——表情・しぐさ・状況を合わせて読む
- 論文要約:論文要約:猫の気持ちは、しっぽより「耳」に出やすいのかもしれない
- 論文要約:論文要約:猫の感情は、顔だけでなく体全体と状況で見る
管理人のコメント
猫のしっぽは、よく見ているとパターンがあります。振れ幅や大きさ、位置で、その子なりの状態を伝えてくれているのだと思います。これまでしっぽばかり見ていましたが、今度からは耳も合わせて確認していきたいです。